夫の浮気からの別居を義兄は喜んだ
ひかるさんは浮気がわかった後に一時は実家に避難するも、義母の説得もあり、話し合って家族を続けることに。しかし、一緒にいることで一方的に怒りをぶつけてしまうことが増え、別居に至ったという。
「浮気相手は夫の職場で、浮気が発覚する少し前まで働いていた派遣の女性でした。浮気は大事にしたくなかったので、もう二度と会わないという誓約書を交わしてもらい終了です。お互い本気という感じもなかったので、もう早く片付けたい一心でしたね。
夫や義母の謝罪や説得があって、一度は再構築するために実家から家に戻ったのですが、いざ一緒に暮らすと夫の色んなことが目についてイライラするようになってしまって。これ見よがしに家事を率先する姿やお土産を買って帰って来る姿に。最後にはトイレのスリッパの位置がズレていただけでもイライラしました。それなのに、強く言ってしまった後にはその言動を後悔してしまう、その繰り返しでした。その辛さを夫にぶつけたら、再構築を前提に一度離れようとなりました。私はそのまま家に残り、夫が実家に戻ったんです」
再構築前提だったため、子どものためにも毎週末は一緒に食事をするようにしていた。また、ひかるさんが忙しいときには夫の実家に子どもを預けることもあったという。そんな関係が9年も続き、現在も再構築には至っていない。最初の頃にはあった「もう一度3人で暮らしたい」という思いが夫婦のどちらからもなくなったからだとひかるさんはいう。
「子どもにも定期的に会えるし、実家で暮らすことにストレスもない。夫の心の内はこんなところだと思います。最初の頃は私は戻りたい気持ちがあったけれど、夫のほうから戻ってきたいという意志を示さない限りはない、と意地になっていましたが、今はそんな気持ちはまったくありません。
子どもがまだ小さい頃、子どもを預けていた義実家へ迎えに行ったことがあるんですが、ずっと未婚で実家で暮らし続ける義兄から『あいつ(夫)は今のほうが幸せそう』や、『俺たちも今の関係のほうが平和』と言われました。それを咎めずに笑っていた義母も、やっぱり夫の味方だったんだなぁと強く思ったことを今でも覚えています」
ひかるさんの子どもは高校2年生になったばかり。高校卒業や成人などのタイミングを見て、離婚を考えているそう。結婚によって新しく家族になった者よりも血縁が贔屓されることはある程度は覚悟しないといけないのかもしれない。しかし、その血縁に喜んで縛られ、いつまでも親離れできない、子離れできないのであれば、離婚を視野にいれるのも仕方ないだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。