浪人も留年も咎めない、裕福な家の一人っ子と結婚
夫は大学の同級生。しかし、夫は1浪と1留しており、年齢は2つ上。夫が社会に出たのは24歳のときだったが、夫には30歳までに結婚するという人生設計があったという。
「夫のマイペースで楽天家なところが好きだったんですよね。悲観的じゃないから多少辛いことがあっても一緒に生きていけるだろうなって思いました。実際に友人が多くて、新卒で24歳なのにロクに就活もしないで、人脈だけでそこそこの会社に入社できていましたから。
夫は人生設計をノートに記していて、『30歳までに結婚するから』と言われて結婚しました。在学中のときからそのノートを見せられていたので、なんとなくこのまま付き合ったらこのぐらいの年齢で結婚かなとは思っていました(苦笑)」
結婚当初は義両親は健在で、義実家もキレイな印象を持った。家には高価なものが多く、裕福な生活を送っているようだったと振り返る。
「夫が1留したときに『親にお願いしないと』と軽く言ったので、お金に余裕がある家なんだろうなと想像はしていました。義両親とは結婚前に外食は何度かしたことがありましたが、家に行ったのは結婚の挨拶のときが最初。そこで本当にお金持ちだったと確信を持ちましたね。家も大きかったし、家具も豪華な感じでした」
菜々子さんは27歳で結婚して1年ほど新婚生活を楽しんだ後に妊活をスタートさせた。しかし、子どもを授かるまでに6年を要した。子どもを授かるまでの間は義家族とはそこまで交流なかったが、孫が誕生したことにより、義両親が頻繁に遊びに来るようになったという。
「不妊治療中は、そのことを義母にも伝えていたこともあってかそこまで干渉はされなかったんですが、妊娠できて、孫が誕生してからは……。義母というよりも義父が人が変わったように私たちと交流を持とうとしてきました。もちろん孫目当てなんですが、財布のひもが緩みっぱなしで、家には義両親からいただいたもので溢れるようになりました」
孫を溺愛する義父の死去により、義母の欲望が表出していく。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。