再び家に居るようになった夫に、お金で誠意を伝えてきた義母

夫は小さい頃に父親と死別しており、話し合いのときには体調を崩して入院していた杏那さんの父親も不参加となり、お互いの母親が参加しての話し合いが行われた。義母と夫は頭を下げ続け、離婚の回避を懇願してきたという。

「女性のほうは弁護士さんにお願いして、家族で今後どうするかの話し合いをしました。今回は私の気持ちもだいぶ離婚に傾いていましたし、そのことを正直に母親には伝えていました。

それなのに、離婚しないでほしいと頭を下げ続ける義母を見ると、いてもたってもいられない気持ちになりました。義母は『償いとして慰謝料を払います』と涙声で言いながら、震えていました。

その場では結論は出ず、一度別居することになったのです。私は子どもを連れて実家に戻ったのですが、自分だけで子どもの面倒を見ようとしても限界があり、母親に頼らないといけない状況になりました。母親には父の面倒もあるのに迷惑をかけているという気持ちを抱えている中で、毎日のように謝罪をする夫に、定期的に会いに来て謝り続ける義母にほだされてしまって。結局家に戻ってしまいました」

そこからまた普通ではない日々が待っていた。夫は再び家での時間を一番に考えるようになり、加えて義母が定期的に訪問してくるようになる。

「義母は謝罪というよりも夫の管理と孫の面倒を見てくれていました。それに慰謝料とは別に来るたびにお金を置いていくようになったのです。断っても帰り際にすぐに気づかない場所に置いて帰られて……。こんなの全然普通の家族じゃないですよね。もう時間だけでは普通に戻ることは無理だと悟りました」

そこから杏那さんは、夫はお金を持って帰ってくる人、義母はベビーシッターと割り切り、仕事に復帰。働いたお金は家に入れることなく、離婚に向けての資金を貯め始めた。そして、離婚がかなったのが昨年の3月になる。そこまで時間がかかったのには父親のこともあったという。

「父のことを母親だけに任せてはおけないので、面倒を見るために仕事をセーブしたりしていたんです。父親が亡くなった後、上の子の中学進学のタイミングで実家に戻ろうと決意して、今に至ります。

離婚の同意を得るのは、夫というよりも義母が苦労しました。義母には、義母が定期的に渡してきたお金をそっくりそのまま返し、『家族に戻るのは無理でした』と伝えました」

不倫は、周囲から反対されたなど障害があるほど当事者の結びつきが強くなる傾向がある。今回の夫は、2度目の不倫に対しても「出来心」と言ったという。

同じ相手と再び不倫する男性が全員本気とは限らないが、それでも求めてしまう理由がその女性にはあったということ。同じ相手と不倫を繰り返すのなら、修復は難しいと思ったほうがいいだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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