言葉の暴力から、夫は夫婦生活での感情を捨てた
お礼も言わない夫に対して、千香さんも夫に家事をお願いする姿勢が高圧的になっていった。その態度からケンカに発展し、その後に家事は分担制に。しかし、決められたもの以外に一切関与しない夫の態度に夫婦の関係は悪化していった。
「言わないと何もしない人って共感力が乏しいんですよね。相手の立場になってものを考えられない。頼むという行動が私の負担になっているなんて一切考えないんです。
夫にはお風呂掃除と洗濯、そして平日のうち3日間の晩御飯は自分で何とかするというのをお願いしました。私も働いていたので。そうなると、本当に他のことは何もしないんです。平日の晩御飯は自分でなんとかしてというと、1人で使いきれる量の食材しか買って来なくて、自分が使った食器類しか洗わない。私が朝残しておいた食器が隅によけられてそのままだったときには大ゲンカに発展しました」
千香さんは一度目の失敗と同じく、夫の悪いところを容赦なく責め立ててしまう。それが夫の地雷を踏んでしまい、「疲れるだけだから話しかけないで」と言われ、感情を閉ざしてしまったという。
「私は感情的になっていて、夫がそこまで周囲に気を配れないことに対して、『病気なんじゃない?』と言ってしまったんです。いつものケンカなら夫のほうも感情的になってしまうものの最終的には謝ってくれるんですが、そのときは無視をされて部屋に籠ってしまってケンカが強制終了されました。
そして、疲れるという言葉です。時間を置いて、私から謝罪もしたんですが、受け入れてもらえず。歩み寄ろうとしても『離婚を考えている』と脅し文句のように離婚を口にされて、このままの状態が続いています」
結婚生活は現在5年目。疲れると言われてからの生活のほうが長くなっているという。進展しない関係でも修復を望む理由は「離婚はいつでもできる」からとのこと。
一度目の離婚は「お互いの同意」と語っていたが、千香さんは告げられた側。離婚で与えられたストレスは、自覚がなかったとしても大きなトラウマになってしまっていることも多い。
一度こじれてしまった夫婦が以前と同じような関係に戻ることは難しい。離婚を推奨するわけではないが、我慢してまで続けた結婚生活が後に無駄な期間だったと後悔するものにならないことを祈るばかりだ。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。