関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

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写真はイメージです

長男が大学中退してから音信不通に

今回の依頼者は友則さん(仮名・60歳)。調査依頼のためにご夫妻で長野県から上京されました。

友則さんはグレーのスーツで、奥様はツイード素材のツーピースを着こなしていて、とてもおしゃれできちんとしている。5年前に都会の生活に嫌気がさして、自然の中に引っ越したとのこと。仕事は東京が多く、新幹線で通勤することもあるそうです。

お互いを信頼している、幸せを絵に描いたようなご夫妻ですが、25歳になる自慢の長男が、2年前に大学を中退したきり、音信不通になってしまっているとのこと。

家族構成は、30歳の長女と、28歳の次女、25歳の息子の3人。「末っ子長男で甘やかしたからこんなことになってしまった」と頭を抱えていらっしゃいました。

「ウチの子育ては、途中までは本当にうまくいっていたんです。長女は看護師、次女は公務員として、東京でバリバリ働いています。2人ともしっかりしているから、結婚もしないし、恋人もいないようなんですが、今はそういう時代ですので、私達もそれでいいと思っているんですが……」と奥様。

友則さんは、「長女は要領が悪く、次女はそそっかしい。2人の姉が僕たちに叱られるところを見て育ったからでしょうか。長男は要領がよく、先回りしていろいろ気を使う子なんです」と語ります。

聞けば、長男は幼いころから、相手の顔色を見て行動していた。自分の好きなものがあっても、相手のために譲ることもしばしば。家族が険悪な雰囲気になると、わざとおちゃらけて、和やかにしたりと、調整弁のような役割を果たしていたとか。

「いい子なんですよ。頭もよくて。姉2人が大学に進学しなかったことに対して、僕ががっかりしていたら、2浪までして僕の母校に進学してくれましたからね」

父親が卒業した名門大学に入学するも、3年のときに退学。友則さんの落胆は激しく、寝込んでしまったという。

「僕がどれだけ言葉を尽くしても、いうことを聞かなかった。その日から、僕たちから連絡はとれなくなってしまい、音信不通なまま、2年が過ぎました。妻とは、息子が生きていればいいと思い、極力触れないようにしていたのですが、長女を通じて“あいつ、結婚したみたいよ”と連絡が入り、いてもたってもいられず、こうしてお願いに来たのです」

【嫁はどうも、15歳年上らしい……。次ページに続きます】

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