一緒に暮らし始めたら、何もしようとしない息子だった
付き合っていた2年間に夫の息子とも頻繁に交流を続け、再婚へ。彼の息子に結婚の意志を報告したところ、「転校しないならいい」というあっさりしたものだった。
「学区内に新居を構えて、入籍のときは家族3人だけで写真を撮りました。
結婚してもちろん一緒に暮らし始めたのですが、それまで3人では旅行にしか行ったことがなく、家で普通に3人で朝まで過ごすことがなかったんです。息子がパパっ子だったこともあり、父親がいないと義両親でも手を焼いてしまうほどで、夫と2人だけで泊まりなどに行ったこともありませんでした。
だから、前の結婚みたいに一緒に暮らして壊れないかなって恐怖は、実際ありました」
夫は前夫と違い、几帳面でしっかりとしたタイプ。息子のことを除いては……。あまりの甘えさせっぷりに「小学生 親 教育」など検索して一般的なのかを調べたという。
「再婚時には小学校3年生だったんですけど、息子は夫の膝の上でずっとゲームをしていて、お風呂も一緒に入って、上がってからは服を着せてもらって、歯磨きも手伝うという感じではなくイチから夫がしていました。私は子どもと一緒に暮らしたことがなかったけれど、私も、妹も弟もこんな感じじゃなかったので戸惑いましたね。
それに、今まで外食していたときは好きなものばかりを食べさせていたので気づかなかったのですが、偏食がひどい。外食時にはマナーの悪さに目が行っていたこともあって。家でご飯のほとんどを食べてもらえずに、残される悲しさをこのとき初めて知りましたね」
そんな息子は現在小学校5年生に。今日子さんといるときは自分のことをある程度自分でしてくれるようになったというが、父親と2人きりのときは相変わらず何もしない。そのことを夫からも息子からも内緒にされている状態だと訴える。
「何で知っているかというと、ペットの見守りカメラです。今は小さいものでもちゃんと写って音声も拾ってくれる。そこで私がいないときの様子をチェックするクセがついてしまいました。
別れる気はないし、3人でいるときも、夫や息子とそれぞれ2人のときも関係はうまくいっていますが、私と一緒のときと違うんですよね。そんなもやもやする思いを抱えるだけなのに、今日もペットカメラへのアクセスが止められません」
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子育ては経験者の意見が強い傾向があり、子連れ再婚で初めて子どもの親になったほうは子育てに対して強く言えないという思いを抱えることが多い。今日子さんも「後から来た他人だから夫が子どもの躾について聞いてくれない」という。
「信頼関係ができればいつかは……」と周囲は口にするが、そのいつかを待てない親がいるのも実状だろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。