叔父をホームに入居させる
「結局叔父には、地域包括支援センターから紹介してもらった、成年後見人をやってくれる団体にお願いして、マンションの処分、引っ越し、叔母の納骨まで引き受けてもらうことができました。24年ぶりに父親と会った従姉妹が家の片付けをしても、叔父が邪魔したりして、なかなかスムーズにはいかなかったようです。預金通帳は、叔父の分は出てきましたが、叔母の分は見つからないままでした。従姉妹がアメリカ在住であることで何かと面倒なこともあり、株は私が相続代理人になることで片付きました」
一方で、ホームへの引っ越しはスムーズに進んだ。
「叔母の初盆当日、喪服のままホームを見学して、即決して契約しました。地元では名の通った企業が運営している高級感のあるホームだったので、ここなら叔父も納得できると思いました。自分で1階の食堂まで行ける人でないと入れないホームでしたが、ひとまず叔父を家からホームに移すことが目的だったので、1階まで降りることができなくなったらまたそのときに考えることにしました。成年後見人をやってくれる団体がそのへんも面倒を見てくれるということなので、ひとまずこれで叔父の問題は解決です」
中澤さんの八面六臂の活躍で、従姉妹もどんなにか安心したことだろう。だが、中澤さんはこれで一息つけたわけではない。叔母、宣子さんの病状は深刻だった。
【シングル一人娘の遠距離介護4】につづく。
取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。