夫も長女も私の味方をしてくれない
次女から、夫の失業保険が給付される3か月間、家賃の9万円を支払って欲しいと言われ、絶句する妙子さん。
「“そんなの無理よ”と言ったら、“私たちも困っているの”と泣きつかれたんです。いったん保留にして、長女に相談したら“そんなの、私の知ったことではない”と言うんです。“払えないならそういった方がいい”と言うから、長女から断ってもらえないかと伝えたところ、電話を切られてしまったんです」
結局、次女の家賃を払わないことは、夫から婿に伝えてもらったという。婿は「はあ、そうですか」という体で、何も考えていないことがわかったという。
妙子さんは娘に貯金額を聞くと、150万円だという。
「あれだけウチを頼っていたのに、それしか持っていないことに驚きました。だって、今まで次女が結婚してから、あげたお金を計算したら、200万円以上になっているんですよ。なんでそんなに使っているのかと思います」
家賃の援助を断ってから2週間。次女は軍隊アリのようになっているという。
「買い置きしている缶詰、お米、野菜などを“ちょうだい”と持って帰るんです。さらに、私が大切にしていた着物や帯留め、バッグなどを“もう使わないでしょ”と持って行く。聞けばフリマアプリで売るそうです」
売上金は、妙子さんのところに入ってこない。
「婿はぼんやりしているし、孫たちもしつけがなっていないから、来るとうるさいしイライラするんです」
妙子さんの夫婦仲も険悪になってしまったという。
「夫に相談すると“お前がまいた種だろう”と言われる。家事も育児も私に押し付けて、自分は“仕事だ、仕事だ”と偉そうにしていて、何を言っているんだか。顔を見ると腹が立つから、夫がリビングに来ると、自分の部屋に行くようにしているんです」
部屋には鍵をつけた。次女が勝手に妙子さんの私物を持ち出してしまうからだ。
「気が付けば、貯金が1千万円近く目減りしていました。そりゃそうですよね。次女一家4人分の生活の面倒を見ているんですから。家の鍵を付け替えようとも思いましたが、そこまでもできない。でも、顔を見るとかわいくてね。これからどうしようか悩みどころではあります」
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。