SNSから自分を守るために、再婚した

報告は目の前で受けたものの、そこから元夫夫婦との交流はなし。しかし、幸せそうな姿はSNSから頻繁に目にしてしまうようになったという。

「結婚式で再会してからSNSを交換していたので、2人でどこに行ったとか、部屋や料理の様子が投稿で流れてきました。彼女は鍵付きで知り合いだけと交流していたから人数もそんなに多くなかった。だからフォローを外すとバレてしまうかもしれない。私のほうから逃げたようになるのは癪だったので、そのままにしていました。

相手にバレないように通知をオフにしても、結局はSNSを開くたびに気になり、自ら閲覧してしまいました。他の共通の友人たちは『あいつらの脳は今お花畑』と痛烈に批判していましたが、本当に2人の世界のようで、投稿はするものの誰とも交流を取っていないようでした」

一花さんに芽生えたのは、元夫への執着ではなく、他の誰かとより幸せになってその姿を2人に見せつけたいという思い。元夫からもらった多めの財産分与を使い、結婚相談所に登録。6人目にお見合いをした男性と交際期間3か月で婚約し、8か月後に入籍した。

「すぐさま元々閲覧用のSNSに初投稿しました。『結婚しました』と指輪をはめた2人の手のショットをね。あっちは2人分の料理のバックにピンボケのウエディングフォトが見切れていたようなベタなものだったので対抗心です」

相手夫婦は子どもが誕生してから赤ちゃんの間は投稿が続いたがその後更新はストップ。合わせるように一花さんも夫婦の投稿をやめていた。一花さんが投稿をやめた理由は、投稿できるような夫婦関係がないからだという。

「価値観の違う人との生活って、こんなに辛いものだったんだと痛感する毎日です。今の夫は、物を捨てないくせに収集癖があり、趣味のものにはお金を気にしないのに普段の生活はケチと私には理解できないところばかり。家では落ち着きがなく、ソファでも色んな場所をゴロゴロしたり、テーブルに座ったり、寝室でゆっくりすることもありました。その度にコップをその場所に置いてくるのでその片づけをする度にイライラが募っていきました。今は根本的な生活リズムさえ合わずにそのことでケンカを繰り返しています。

私を選んでくれるなら、と急いで再婚してしまった。子どもができたら関係が変わるかもしれないので、40歳まで妊活を続けて、無理だったら離婚かなって思っています」

* * *

結婚相談所を利用した場合、お見合いから婚約に至るまでの期間は一般的に2~3か月だと言われている。婚約からはそれぞれ準備期間が違うが1年ほどで入籍する人が多いそう。一花さん夫婦もその一般的な流れに沿っていたはず。しかし、一花さんは結婚後の生活を想像することなく、結婚すること自体が目的になっていたため、現状のような夫婦関係を続けていくことになっていると感じた。

別れてしまうこともあるが、結婚は一生を左右する。交際から結婚までの期間はただ結婚というゴールを目指すものではなく、今まで別々に生きてきた2人が一緒に生活するためには、お互いの違いを理解し認め合う期間に当てることが大切だろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

1 2

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
10月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

「特製サライのおせち三段重」予約開始!

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店