申告や納税などの税務手続きは複雑なものであり、確定申告が必要な方にとっては苦痛なイベントではないでしょうか。申告するために税務署に出向いたり、税金を納めるために銀行窓口に出向いたりと、想定以上に時間を費やすこともあるでしょう。しかし、e-Taxを利用することで、申告や納税などの税務手続のために今まで費やしていた手間や時間を短縮することができます。
そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た幅広い知識や経験に基づき、e-Taxのメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
目次
e-Taxとは?
e-Taxで何が申請できる?
e-Taxを利用するメリットとは
e-Taxを利用するデメリットや注意点とは?
まとめ
e-Taxとは?
e-Taxとは、以下のような税務手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続を行うことができるシステムです。
・所得税、贈与税、法人税、地方法人税、消費税(地方消費税を含みます)、復興特別法人税、酒税及び印紙税に係る申告
・全税目の納税(電子納税証明書の手数料納付を含む)
・申請・届出等(電子納税証明書の請求及び発行を含む)
従来は税務署に出向いて申告書・申請書を提出するか、もしくは郵送での提出が手続きの手段でした。しかし、平成16年(2004)にe-Taxによる手続が導入されて以降、税務手続きの利便性が著しく向上しています。またスマートフォンの普及に伴い、平成26年(2014)よりe-Taxのサービスのうち一部の手続きについて、スマートフォンでの利用が可能になりました。
皆様の馴染みが深い所得税の確定申告についても、スマートフォンによる申告が可能です。スマートフォンがあれば、確定申告書の作成、電子申告が可能となる時代になりました。
e-Taxで何が申請できる?
e-Taxを利用することで様々な税務手続きを、インターネットを介して行うことができます。
(1)電子申告
所得税、相続税、贈与税、消費税、法人税、消費税などに関する申告書をe-Taxで作成することができ、申告手続きを行うことが可能です。e-Taxが導入される前は、税務署にわざわざ出向いて申告書を提出するか、もしくは税務署に申告書を郵送して提出していました。申告書を提出するだけでも手間と時間がかかっていましたが、e-Taxにより利便性が非常に向上したと言えます。
(2) 電子申請及び届出
税務手続きには、申告手続のみならず、様々なケースに沿った申請及び届出手続きがあります。例えば、個人事業の開業・廃業等届出、所得税の青色申告承認申請、法人設立届、消費税課税事業者選択届出といった申請及び届出手続きがあります。これらの申請及び届出手続についてもe-Taxにより作成・提出が可能です。
(3)電子納税
(1)(2)のようにe-Taxを利用することで、様々な税務手続きがインターネットを介して行うことができますが、e-Taxは電子納税についても対応しています。税金を納めるためには、税務署や金融機関の窓口に出向かないといけません。しかし、e-Taxであれば、事前に登録した預金口座より振替といった方法により、納税を完結することができます。
電子納税は源泉所得税の納税についても対応しています。毎月納税のために税務署や金融機関の窓口に出向いていた面倒な作業がe-Taxにより、自宅や会社で納税を完結することが可能になりました。
e-Taxを利用するメリットとは
e-Taxを利用するメリットは、それぞれ以下の通りです。
1、税務署や金融機関に行かなくても、申告や納税を行うことができる。
2、平日であれば、24時間いつでも申告や納税を行うことができるため、本業で日中忙しい方でも利用することが可能。
3、e-Taxは収入金額や経費、医療費など、確定申告に必要な数字を入力するだけで、税額を自動的に計算してくれる。また、計算ミスなどの簡易な間違いを防ぐことも可能。
4、確定申告書には、源泉徴収票、ふるさと納税受領証明書、生命保険料控除証明書、住宅借入金年末残高証明書などの様々な書類を添付することが必要。しかし、e-Taxを利用することで、これらの添付書類を省略することが可能。
5、郵送や税務署窓口での提出に比較して、税金の還付をより早く受け取ることができる。
e-Taxを利用するデメリットや注意点とは?
前述したようにe-Taxを利用することで、税務手続きに係る時間を短縮することができ、メリットもたくさんあります。しかし、事前手続きが多少煩雑となります。
e-Taxを利用するためにはマイナンバーカードが必須ですが、通知カードでは対応できません。ICチップ入りのマイナンバーカードが必要となります。まだお持ちでない方はマイナンバーカードの取得から始めていただく必要があるでしょう。
さらに、e-Taxには利用者識別番号(ID)とパスワードが必要です。銀行口座やクレジットカードの暗証番号と同様に、利用者識別番号(ID)とパスワードの管理も必要になります。
まとめ
今回ご紹介したようにe-Taxを利用することで、様々な税務手続きに費やす時間を短縮することができます。申告や納税などの税務手続きは日本国民に課せられた義務です。しかし、できることなら時間を費やすことなく、手続きを完結したいものです。
また、e-Taxでは、自動的に税額を計算してくれるなど、ある程度の人為的なミスを排除してくれ、安心して申告手続きを進めることができます。まだe-Taxにチャレンジしていない方は、是非試されてはいかがでしょうか。
●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)
日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。
日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)
構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com)