忙しく日々を過ごすなかで、いつの間にか夫婦の間に亀裂が生じ修復困難な状況になってしまっている場合、「離婚」を考え出すことでしょう。しかし、3万8000件以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導いてきた離婚カウンセラーの岡野あつこさんは、「離婚の8割はがんばれば修復できるケースだ」と言います。
そこで、岡野さんの著書『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』から、崩れてしまった夫婦関係を修復し、よりよい関係を築いていけるようにするコツをご紹介します。
文/岡野あつこ
お互いを尊敬し、相手に向き合う
私はつねづね、夫婦がベストパートナーになるためには、相手を認め、尊敬する「リスペクト力」が必要だと思っています。 夫婦は互いに尊敬する気持ちをもって向き合わなければうまくいきません。 苦労人だ、どんなときも冷静だ、怒ったところを見たことがない、商才がある、努力家だなど、人が人を尊敬するポイントはさまざまですが、ベースに相手を認める気持ちがあれば、問題が生じても見逃すことができるのです。また、相手から忠告されたときに、素直に受け止めることもできます。
ところがパートナーを尊敬していない人が少なくありません。相談者のなかには、 夫から月に百万円の生活費をもらっているのにもかかわらず、夫を尊敬していないという人もいます。 「夫がここまでやってこられたのは自分の支えがあったからだ」といってはばからないのです。「それなのに偉そうなことをいって……」と続くのですが、この場合、妻に欠けているのは謙虚な気持ち。相手を見上げるのは無理でも、自分を控えることならできるのではないでしょうか。
たとえば妻が料理上手なら、夫は妻はすごいと尊敬する。夫がパソコンに強いなら、夫は頼りになると尊敬する。ふだんは当たり前だと思って見過ごしていることのなかにも、リスペクトできる要素がひそんでいるのです。この人は自分ができないことができる人だ、という視点で相手をみることで、相手に対するリスペクト力を備えましょう。
自分を信じることができれば、相手も信じられる
次は、自分を信じて動く「自信力」です。この人は自分を裏切るかもしれないという目で、パートナーのことをみている猜疑心の強い人がいます。そうした人は、相手を信じることができるかどうかという以前に、自分自身のことを信じていないのです。
たとえば夫に浮気をされるかもしれない可能性というのは、誰だってないとはいえないわけですが、そのときに自分は夫に愛されているという自信のある人は、余計な猜疑心に翻弄されることはありません。
ではその自信をどうやって培うのかといったら、妻としての役割を果たすことです。家事もきちんとこなしているし、夫に対して朗らかに接している、定期的に美容院へ行っていつもきれいにしている、子どもがいるなら子どものこともきちんとこなしている、夫の親とも良好な関係を保っている……。
すべきことをきちんとしているのだから大丈夫だと思えたら、それこそが自信です。もちろん努力もともないますが、だからこそ確固たる自信に近づくのです。
すべきこともしないで根拠レスな自信をもっている人や、自信過剰な人は夫の浮気に愕然として、相手を責め立てることしかできません。
けれど、自分に真の自信のある人は、夫の浮気に動じることはあっても、取り乱したままではいません。自分を信じる力によって心に余裕ができるので、夫と冷静に話し合ったり、その場は事を荒立てず話し合いのタイミングをはかって的確に対処することができるのです。
また、自分を信じている人は、そんな自分が選んだ人なのだからという理由で、相手のことを信じることができるともいえるでしょう。
友人に、夫の経営する会社が倒産の危機を迎えたときに、「でもあなたなら大丈夫よ、私が選んだ人だもの」と夫を励ましたという人がいるのです。倒産の危機を乗り越えたいま、夫は「うちの妻は肝が据わっている」と彼女のこと
をリスペクトしています。自分に自信を備えることが安定した夫婦関係の主軸となるのです。
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『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(岡野あつこ 著)
サンマーク出版
岡野あつこ(おかの・あつこ)
立命館大学産業社会学部卒業後、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験をもとに、91年に離婚相談室を設立。以来、「 離婚しないに越したことはない!」をモットーに 、3万8000件 以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導く。夫婦問題研究家® 、パートナーシップアドバイザー 。カウンセラー育成にも力を注ぎ、「マリッジカウンセラー、夫婦問題カウンセラー養成講座」を開講。NPO法人日本家族問題相談連盟理事長。YouTube岡野あつこチャンネル更新中。