中高年になってやっと結婚の良さだけが残った

彼が夫婦生活を拒否していた理由は皮膚疾患。陰部に湿疹がでる病に悩まされ、痒みや痛みから夫婦生活を避けるように。「男性としての機能なし」と元妻から非難され続けたことで離婚に至ったという。

「妊活のために『痛くても大人なんだから我慢しろ』と無理やり続けていたそうです。これは立派な妻からのDVですよね。義務になるからこそ体が拒否してしまう気持ちは痛いくらいわかります。私は嘔吐を繰り返し、彼はかきむしってさらに皮膚炎が悪化するという悪循環だった。

お互いが離婚の一番他人に触れられたくない部分を伝え合ったことで一気に仲は深まりました。プラトニックな関係のまま、私たちは5年の友人のような恋人のような関係を経て、昨年入籍しました」

入籍は「“支え合う関係”という意味で家族になりたかったから」と律子さんはその理由を答えた。

「夫婦ではなく、家族になったんです。お互いが無理をせずに一緒に生活して、共に生きていくという家族に。まぁそんな気持ちの裏には、いい年の男女がただ付き合っているだけでは周囲の目も気になったという本音もありますけどね。

今は本当に幸せです。セックスレスという言葉も気にすることはないし、周囲からの子どもへのプレッシャーもまったくない状態ですから。若い頃の結婚は様々なしがらみばかりでしたが、中高年になってからの結婚は、そんなしがらみがそぎ落とされて、やっと幸せだけが残るのかもしれませんね」

* * *

夫婦の片方だけが夫婦生活を拒否している場合や、子どもを望んでいるにも関わらず行為を行わない場合などは離婚事由になるという。一方、拒否している側は性交渉が困難な事情がなければ歩み寄りを求められ、それも無理で拒否し続けた場合には離婚を受け入れなければならない(拒否している期間による)。

律子さんと元夫との関係は夫婦生活以外は円満であり、世の中にもその部分を除けばうまくいっているという夫婦も多い。セックスレスで離婚に至る夫婦は、性交渉を夫婦の大事なコミュニケーションと考えているかいないかという、性格の不一致としても捉えることができる。性格の不一致であれば、どちらか一方が悪いという考えではなくなるはずだが、まだ拒否している側が悪いという考えが根強いように感じる。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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