30代の男性と手をつないでボウリング場へ

クルマを追うと、自宅から40分ほど走ったところにあるボウリング場へ。運転席からは、30代後半と思しき地味な男性が降りてきました。この男性も女性には慣れていないような雰囲気を醸し出しています。

妻は不自然なほどはしゃいでおり、2時間近く遊んだ後、食料品や酒などを大量に買い、近くのマンションへ。

そこから翌朝まで出てきませんでした。聞き込み調査をすると、男性は1年ほど前から住んでおり、1人暮らしだということ。近所の人は妻のことを認識しており、「お姉さんは愛想がいいですよね」と語っていました。

翌日の昼頃にマンションから出てくると、男性が妻を最寄り駅まで送ります。別れ際にキスをしていました。当然、きょうだいではないでしょう。

妻は駅ビル内にある高級惣菜店で煮物や焼き魚、ご飯などを購入。そのまま自宅に帰りました。それから、数時間後に依頼者・光男さんが帰宅。手には優しい色合いのブーケを持っていました。

その翌日、光男さんに連絡をすると、「証拠は出なかったでしょ? 昨日、帰宅したら、好物を作って待っていてくれたんです」ととても機嫌がいい。

こういうとき、大変申し上げにくいのですが真実をお話したのです。すると、電話の向こうでも絶句していることがわかるほどでした。

この日の夕方、連絡をいただき、お嬢さんがカウンセリングルームにお見えになりました。光男さんはお嬢さんの家で、お婿さんと留守番しているそうです。

証拠を見ると「浅はかな女性なんですよ」とため息をついていました。そして、「父のことは恥ずかしいですが、気持ちもわかるんです。きっとさみしかったんでしょうね」としみじみおっしゃっていました。

「父はコロナの直前に私と夫にある程度の事業承継をし、母の夢だった豪華客船の旅を計画していました。両親は英語やフランス語も一緒に勉強し、“楽しみだね”とルンルンしていたところに、コロナでしょ。母も死んでしまい、父も気持ちの持って行き場がなかったと思うんです」

娘は、光男さんに婉曲に離婚を勧め、光男さんは証拠を目にすることなく、離婚を決めたそうです。娘が「ご縁があった方だから」と元妻が家から出るときに50万円を包んでわたすと、何も言わずにもぎ取ったそうです。その様子を見て、光男さんは目が覚めたとか。

シニア世代に限らず、かつての恋愛や結婚相手は、職場や趣味のサークル、知人の紹介など、相手の人となりがわかる同士が多かった。しかし、ネットを通じて不特定多数との出会いの機会は増えています。

それに伴い、「親がよくわからない異性にお金を渡していた」「持病がある親が酒の匂いをさせて帰って来た」などから、親の素行調査を依頼するケースは少なくありません。特に配偶者を亡くした場合は、周囲の人の理解や適切なサポートが必要なのだと感じています。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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