みんなと和気あいあいと過ごせるのがうらやましい!
美沙さんはセクシーで豪快な性格で、利用者さんの人気も高い。サバサバとしており同僚からも慕われていた。
「特に悩みながら子育てをしている30~40代の主婦や、シングルのまま仕事をしている独身の40代のスタッフから絶大な信頼を得ていました。仕事が終わった後にファミレスで談笑しているのを何回も見たことがあります」
昌枝さんはうらやましいと思っていた。
「私はずっと専業主婦だったから、コミュ力が低い。だからそんな美沙さんに“いいな~”と思っていました。若い人に慕われるって、人間として魅力があるって証拠みたいなもの。家に帰って来てからも“うらやましい!!!”と枕に向かって叫んでいました(笑)。不安や孤独に耐えるのが大人だとは思っていても、職場で美沙さんたちが楽しそうに過ごしていると心中が穏やかでなくなるんですよね」
そんな気持ちが通じたのか、控室で美沙さんから「今日も忙しかったね」と声をかけられた。
「天にも昇る気持ちでしたよ。あいさつ程度はしていましたが、次に会話が続くような話ではなかった。私が“ほんとにそうですね”と答えると、“疲れにはこれがいいから”とバッグの中から白いプラスチックのボトルに入ったサプリメントを出してきた。私の手にタブレット上のものを出すと、“効くわよ”と笑いました」
サプリメントは飲み慣れていた。ビタミン、ミネラル、眼精疲労用、ひざの痛み用、ダイエット用などを毎日飲んでいた。
「美沙さんがくれたサプリは、私が飲んでいるモノとはどこか違うと思いました。海外の香りがした。職場の太陽の美沙さんは、飲んでいるサプリも違うんだと思ったんです」
【「今飲まないと、老後ボロボロになるわよ」……その2に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。