顔が広い女友達は、様々な会に誘ってくれた

インスタで知り合った朋美さんは、奈緒さんに新しい世界をたくさん見せてくれた。

「ファン同士のミーティング、誕生日会、ファンが作るグッズの譲渡会など、“推し活”ってこんなに豊かで楽しいんだ……と思ったんです。私は主人の海外赴任に帯同していたので、日本に友達と呼べる人があまりいなかったので、推し活が中心となる生活に、毎日ウキウキしていたのです」

インスタに誰かが何かをアップすれば、イイネを押す。そして気の利いたコメントをつけて、それに返信が来る。相手を褒め合う温かな文化があり、利害関係が基本的になかった中学校・高校時代を思い出したという。

「私は年齢が上だということもあり、相談されやすいのかもしれません。DM(Direct Message)で個人的な内容が送られてくるようになったんです。例えば、40代のファン仲間から育児や夫婦関係について相談されることもありました。家を出るからかくまってほしいとか、不倫などの打ち明け話をされたことも。そういうことで、“私は信頼されて、必要とされているんだ”と嬉しく思うようになっていったんです」

多くの女性は、自分と同じ程度の生活水準ではなく、「ちょっとステキ」程度の水準の人のほうに、相談や打ち明け話をする傾向がある。

「おそらく、そういう相談役が今までは朋美さんだったんでしょう。朋美さんはいい人なのですが、なんでも決めつけるように話をするところがあるんです。“あなた、〇〇なんてダメよ”、“そんなことしちゃいけない”、“私はこっちの方が好きだな”とかね。そういうふうに決めつけられると、だれもいい思いはしませんよね。だから私に人気が集まったのかもしれません」

【友達が私の悪口を言いふらしていた……その2に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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