取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った由香里さん(仮名・46歳)は39歳のときに元仕事仲間だったバツイチのシングルファーザーの男性と3年の交際を経て結婚します。付き合った当初から結婚を意識していなかったものの、籍を入れたときには嬉しくて仕方なかったそう。
「結婚願望なんて残っていると思っていなかったのに、免許の氏名変更など、苗字が変わることだけでも嬉しくて。40歳手前で2人で結婚写真なんて撮ったりと浮かれていましたね。付き合っていたときよりも夫のことは大切になっていました」
遠慮から、息子に話しかけることさえ躊躇してしまう
結婚後も由香里さんは仕事を続ける中、旦那さまよりも早く帰りご飯の用意を含めて家事などを率先して行っていたそう。その中で継子がご飯を一緒に囲むのは週に2度ほど。何も連絡がなく遅く帰ってくることがほとんどだったものの、強く言えなかったとのこと。
「結婚したときには子どもは13歳。私の中の中学生の子どもって弟の知識しかないんですが、親と一緒にいるのが恥ずかしいという年頃なのかなって。
いざ食べるとなったときに用意していないとまずいから毎日用意していたんですよね。最初の頃は夫から好きなご飯を聞いて、料理はあまり得意じゃなかったんですが、頑張っていました。朝は毎日顔を合わせていたのでそのときに『今日晩ご飯いるかな?』と聞いても『わかんないですね』という感じで、ハッキリ答えてくれないんですよね。これも思春期だから仕方ない……と自分を納得させて、必死にもやもやを抑えていました」
「子ども側の立場からしたら急に家にいるおばさんから馴れ馴れしくしてもらいたくない」と思い、余計に何も言えなくなったという由香里さん。『思春期 子ども 関わり合い』など子育てに関するキーワードを検索して色々調べたそうですが、何の成果もなかったとか。
「夫に相談しても『放っておいたほうがいいよ』と。『難しく考え過ぎ』と言われたりもしたんですが、私のほうからしか歩み寄ろうとしていないのに、簡単に考えて放っておいたら一生距離は縮まりません。育ててもらった記憶もない女は一生よそ者のままですよ。
いつか大人になったら分かり合える日が来る――というのは分かり合えていた過去があるから。私と親の関係がいい例ですから」
【最初から、一度も母親じゃなかった。次ページに続きます】