取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った由香里さん(仮名・46歳)は39歳のときに4歳上のシングルファーザーと結婚。覚悟を持って中学生の義母となったと言います。

「自分にはもう子どもは望めないだろうと思っていたし、結婚さえ諦めていたので結婚して家族ができたときにはとても嬉しかったです。元々子どもに対して苦手意識が少しあったものの、一緒に暮らすのだから息子とはうまくやりたいと、できる努力はすべてしようと思っていました」

子持ち男性との結婚を伝えると親は「何があっても頼ってくるな」と言った

由香里さんは愛知県出身で、両親と3歳上に姉、2歳下に弟のいる5人家族。学生時代から両親とは折り合いが悪く、「20代のうちに結婚できなかったことを恥と思うような親だった」と由香里さんは語ります。

「小さい頃は母親に甘えていた時期もあったと思うのですが、すべてが学生時代の不仲にかき消され、覚えていません。両親のどちらも女の幸せは結婚だと思い込んでいるような昔の人で、平均的な成績だった私は勉強に関しては何も言われませんでした。姉は20代前半で、弟も地元の父からの紹介で就職をして結婚もするような、自慢の子どもたち。一方で、その親が言う“普通の道”から外れた私のことを許せなかったんでしょう。顔を合わせる度に『結婚しろ』と言われ、実家に帰ることを少しずつフェードアウトして、今に至ります。32歳ぐらいからまったく連絡を取り合わなくなりました」

結婚を決めたときには母親から電話がかかってきたそうですが、相手が子持ちということを伝えると「何があっても頼ってこないで」と言われたとか。

「一応、結婚することをメールで報告したんです。そしたらその日の夜に、おそらく父と一緒にいる時間に電話がかかってきて、『早く結婚しなかったから、相手がそんな人』と言われて、最後には『頼ってくるな』と。あの電話で完璧に縁が切れたと思っています」

【「年頃の女性を……」義両親の勧めでシングルファーザーと再婚することに。次ページに続きます】

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