母の男性関係が許せない理由は

日々女らしくなっていく母親に対して、愛花さんの嫌悪感は強くなっていきます。その姿を見ないようにと母親に相談することなくマンションを決めて、1人暮らしをスタートさせることに。家を出る直前で母親に伝えたときに初めて義父のことで揉めたと言います。

「最初から『聞いてない』とケンカ腰だったので、私もあんたの男関係のせいだとフラストレーションが溜まっていたから、言い合いになってしまって。『離婚していないのに、新しい男なんて作るな!』って叫びました。母は『お互い利害関係があって離婚していないだけ』だと言い、『なんの思い出もないのにファザコンなのか。父に甘えられなかったのは自分のせいでしょう』と。その日はもっと言い合いになったけれど、興奮して、何を言ったかあまり覚えていないんです。

私はその後一切母親と口を聞かないまま、家を出ました」

愛花さんが1人暮らしを始めたのが27歳のとき。そこから母親とのケンカはうやむやになり、今はたまに帰省する関係は続いているとのこと。しかし、まだ母親と婚姻関係にある義父と会ったのは高校生のときが最後のまま。きっかけがあれば会いたいと愛花さんは言います。

「母は男性と別れて寂しかったのか、そこから連絡をしてくるようになり、邪険にできずに気づいたら普通に戻っていたという感じです。私の人生の中で父親という存在がどんなものかわからないのに、あの意味不明な母親の発言には今も思い出してはイライラしますけどね。

母子家庭と同じ環境でしたけど、父がいたから大学に行くこともできたし、悪いことばかりじゃなかった。と、そう思うことで自分の気持ちを軽くしています。それと、いつか会えたら大学資金を返済するために貯金をしています。結局私は借りを返したい、罪悪感を解消したいという気持ちなんですよね」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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