大学合格を機に両親が離婚。親の不仲に気づくことができなかった
高校では今までで一番勉強を頑張ったという康則さん。父親のことをそこまで意識はしていなかったと言いますが。
「高校では部活やアルバイト、友人と遊ぶことも楽しくて、父親のことはあまり意識はしていません。自分の意志で勉強していたつもりです。受験勉強も嫌で少しレベルを下げて入った高校だったから、校内では最初からそこそこ上位の成績だったんです。最初のテストの順位で頭が良いというレッテルが貼られて、そのプレッシャーが大きかったかな。
でも、今振り返ると、親や学校の先生などの期待通りの自分でいたかったんですよね」
康則さんは上位の成績をキープし続け、関西の有名大学へ進学。充実感と達成感に包まれていた矢先、両親から「離婚する」という事実を突きつけられます。
「目立ったケンカなどもなかったからまったく気づいてなかったんですが、両親はずっと前から私が受験が終わったらと決めていたみたいです。すでに家を出ていた姉はそのことを知っていたみたいでした。一緒に暮らしていたのに、両親の異変にまったく気づけていなくて、情けない気持ちでいっぱいでした。知らないところで進んでいたことに反対なんてできなかった。もう18歳で、この年齢なら離婚しても問題ないと思っていたということは、両親の中で子育てがひと段落したということですよね。そんな自分が子どもみたいにダダをこねるわけにはいかないですから」
離婚後、母親は家を出ていき、父親との2人暮らしが始まります。父親は自分を卑下しながら、康則さんにこうなってはいけないと理想を植え付けていきます。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。