子供の母親は、元部下の女性

志乃さんは、証拠を持って、弁護士と相談し、まずは夫に軽く聞いてみたという。志乃さんの調査目的は、「財産が他人に行かないこと」。目的は財産の一点にあります。だから弁護士も「お金が目的と言うと、気を悪くして妻に渡さないように囲い込む男性は多い。やんわりと聞いてみてください。繰り返すようですが、財産分与においても、法律上の妻が最強です」と言ったそう。

そこで志乃さんは、私が撮影した動画を切り出して、「友達からLINEが来たんだけど、あなたを保育園で見たって」と聞いたのです。

すると夫は、かなり驚いて「お迎えを手伝っている」とムスッとして言ったそう。「誰の?」と言うと、「前の部下だよ。この話はいいだろう」とどこかに行ってしまったという。

その後、子供について調べると、夫との間に血縁関係はなかった。子供の母親は、かつて夫が交際していたと噂が立ったことがある元部下でした。そのことを志乃さんに報告すると、「主人に聞いてみます」と帰っていきました。

その後、女性はあるIT関連企業に転職。未婚のまま42歳で妊娠し、43歳で出産する。その直前、マンションを探しているときに、夫と再会。子供の父親は不明でした。

「主人は、元部下がシングルマザーになっていることを助けようと思ったんでしょうね。正義感が強くて曲がったことが嫌い。この女性が主人になびいたのも、その真っすぐさだったと思う。振り返ると、25年ほど前、課長だった主人はパワハラで有名な部長の不正を暴き、社長に直談判、会社のガンだったその部長を退職に追い込み、職場のヒーローになったことがありましたから」

夫がその女性の育児の手伝いをしていたのは、「これからの人の役に立ちたい」という思いがあったから。

「とはいえ、元の不倫相手でしょ。それを知ってしまったら、もう主人に優しくできないし、私が調査をしたことがバレて、主人の気持ちがどんどん離れていくのを感じます。このまま主人が出て行って別居の方向になってしまいそうですが、それはそれで楽だとも思うんです」

結局、志乃さんご夫妻は、話し合いの末に冷却期間を置くために別居。志乃さんが家を出て、娘の家の近くにマンションを購入してそこに住むことを決めた。

「ひとり暮らし1週間なのですが、ホントに楽しいですね。食事を作らなくてもいいし、洗濯機を回すのも週に1回程度でいい。家も広くないから掃除も楽だし、好きな時に好きなことができる。主人のことは好きでしたけれど、小さな無理を重ね続けていました。今がとても幸せです」

結婚30年以上の夫婦の場合、婚姻関係を維持したまま、別居をして第二の人生を歩む人も少なからずいます。やはり、不安定な時代に、お互いに縛られない自由を得つつ、“もしもの時(入院など)”のために伴侶はキープしておきたいという希望があるようにも感じます。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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