漠然と結婚したかった夫と結婚願望がない私
香織さんが旦那さまに出会ったのは学生時代に始めたアルバイト先で、当時は21歳。3年間の友人期間を経て恋愛関係になり、そこから結婚まで12年間交際します。
「夫は1歳上で、出会ったときは短大生と大学生でした。付き合うまでの3年間はずっと仲が良かったわけではなく、たまに何人かで会うような浅い関係でした。そんな仲だったのに告白をされて断る理由がなかったから付き合ったという感じです。
そこから12年です。私はずっと彼氏彼女の関係でいいと思っていました。両親を見て、結婚願望はまったくなくなっていたので。結婚って女の人ばかりが損をする制度で、子どもも欲しいと思っていなかったから結婚に踏み切る理由がなかったんです」
付き合う中で結婚について2人で話し合った結果、結婚を選択しないことを決めたとのこと。しかし、最後のほうには義両親が出てきて何度も説得されたと振り返ります。
「付き合って3年で『結婚する?』みたいな軽いプロポーズみたいなのを受けましたが、そこで私は『したくない』と言いました。でも夫は『まだ』と勘違いしたみたいで、29歳のときに再度プロポーズを受けて断ったことで結婚に対しての意識の違いをすり合わせ、それでも一緒にいるということになったんです。夫自身も漠然と結婚しなければという世間体を気にしていただけみたいでした。
しかし、それを義両親はよく思っていなかったようで……。彼女のときに食事や一緒に日帰り旅行にも行ったことがあり、会う度に結婚を迫られていました。ずっとのらりくらりかわしていたんですが、義父の病気がきっかけで逃げ切れなくなって。泣きながら義母にお願いされたんです。『籍だけでも入れて、安心させてほしい』と」
義母は義父がいる間に、いなくなった後のことを考えて2人を息子夫婦の枠にはめようとしてきて……。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。