兄の結婚で義姉が実家に。家族のかたちが大きく変化した
広樹さんは高校を卒業後はデザインの専門学校に進学。ここで初めて父親と揉めたと言います。
「父親は昔気質というか、デザインなどはどこか軟派なイメージがあるのか、専門学校に行くなら、資格がちゃんと取れるところに行けと言われました。でも、僕は昔からファッション誌などが好きで、逆にそれ以外に興味が何も持てませんでした。そこから父親の説得は進路の締め切りギリギリまでかかりましたね。最終的には父親が折れてくれて、父親と2人で専門学校の見学会に出席したんですよ。ほぼ初めてぐらいの2人きりの時間で、妙な恥ずかしさがずっとありました」
専門学校を卒業後に今の企業に就職。同時期に、学生から社会人になった広樹さんの変化よりも大きな変化が家族の中であったそうです。
「兄ができちゃった婚をしたんですよ。相手は5歳上の女性で子供ができたことを理由に僕の実家で同居することになりました。そこから家に言い方は悪いですが他人がいる。実家が少し窮屈に感じるようになりましたね。でも、両親が認めて一緒に暮らしているので、僕が何かを言える立場ではないのはもちろんわかっています。だから就職して1年後に僕が家を出たんです。その頃には初孫もできて、家族はより賑やかになっていました。家を出てしまったから、母親にある変化が起こっていることを、当時はまったく気づいていませんでした」
義姉にいいように使われる母親、そして嫁側に立つ兄。妹の密告から家族会議が行われる事態に発展していきます。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。