家計を支えてくれたのは高校を卒業してすぐ働きに出た兄。高校進学も兄の言葉で決意できた
直美さんは高校進学をするべきかどうかしばらく悩んだと言います。それは勉強嫌いのほかに、お金のこともあったからだとか。一度は諦めようとした進学を後押ししてくれたのはお兄さんでした。
「両方の兄は私が中学生の時には高校を卒業して、2人とも社会人になっていました。2番目の兄はすでに家を出ていたんですが、1番上の兄はまだ実家にいて、家計を支えてくれていました。その兄から『高校くらい出てないと仕事が厳しくなる。お金のことは気にしないでいい』と言われて、進学を決意しました」
地元の高校に無事進学した直美さんはアルバイトを始めます。そしてそこで初めて彼氏ができたそう。
「アルバイトは少しでも家の足しにできるようにという建前のほか、自分で自由に使えるお金が欲しかったからです。中学まではお手伝いをすると50円、100円ぐらいのお小遣いをもらっていたけど、やっぱり欲しいものが何も買えなかった。みんなと同じようなかわいいふで箱が欲しかったし、兄のお古じゃない絵の具も欲しかったからです。
アルバイトはスーパーのレジで、そこは近くの高校からの生徒が多かったです。私は学校に内緒でアルバイトを始めたので、学校からも少し遠い場所を選んでいたこともあり、同じ学校の生徒はいませんでしたね。そして、そこで初めての彼氏ができたんです。彼は1歳上の高校生で、バイト終わりに一緒に帰ったり、休みの日も一緒にいるようになりました。そして……、彼の子供を妊娠してしまうことになります。それは高校1年生の終わりごろ。その事実に、当時の私はただただ怖くて仕方ありませんでした」
高校生での妊娠で産むことを選択できなかった直美さん。大人になり、そのことをずっと後悔するようになっていきます。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。