祖母の世話に協力的ではない父親とあの人。家族になることはできなかった

高校時代も同じような生活を続け、大学では一人暮らしを始めます。年に数回しか顔を合わせないことで、家族との関係は表面上は落ち着きます。知佳さんは祖母ともあまり会わないようになっていき、久しぶりに祖母の家を訪れたときには家はびっくりするほど散らかっていたと言います。

「祖母は寝たきりではないのですが、家事をするにも休みがちになっていて、家の掃除が行き届いていない様子でした。私の一人暮らしの家は電車で1時間ほどの距離だったので、私は時間があるときには祖母の家に掃除をするために通いました。でも、アルバイトもしていてどうしても行けないときがあったので、父親に相談したことがあって。父親は私の話を聞いてはくれましたが、祖母の家の様子を見に行くなどの行動は起こしてくれませんでした。あの人には直接何かを伝えたことはないけど、私たちの会話を近くで聞いていたのに何もしてくれませんでしたね」

知佳さんは大学在学中に再び祖母と暮らし始め、社会人になってからも一緒の生活を続けて、二人暮らしができるマンションへの引っ越しも自身が稼いだお金で行ったそう。祖母が体調を崩しがちになってからも、在宅介護を利用しつつ知佳さんは1人で世話をし続けます。その間、両親は一切顔を出さなかったと振り返ります。

「そのときにもう両親との関係は終わりだろうなって思いました。祖母は父親にとっては母親なのに、こんな扱いなんだと。絶対にあの2人には頼りたくないと私も意地になっていて、毎日が必死でした」

4年前に祖母が亡くなり、現在は職場に近い場所に引っ越しをして両親との交流は一切ないとのこと。

「祖母の葬儀で顔を合わせたっきりです。今はどうしているのかも知りません。私の父との良い思い出はすべて小学生の頃で終っています。すべてが変わってしまったのはあの人が来てから。恨みみたいな気持ちはありませんが、あのまま祖母と3人で暮らしていた生活が続いていたら……と考えることはありますね」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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