再発がきっかけをくれた
妊娠について積極的に行わないことで、さくらさんは穏やかな生活を送っていたと言います。しかし、今から1年前に局所再発が見つかります。
「妊娠を期待して、その後にまた落ち込むというターンがなくなり、穏やかな毎日を取り戻しました。2人だけで穏やかに生きていこうって。そんな中で、年に1度受けている検査で局所再発が見つかりました。医師から伝えられたときには一瞬で血の気が引くような感じがしました。座っていたのに貧血みたいな症状が出たという感じです。全摘出が必要になり、ついに隠しておくことができなくなりました」
自分の病気を伝えるときに泣いてしまっては、相手は何も責めることができないと、当日も泣くことなく謝罪したとのこと。義両親はさくらさんの言葉をしっかりと受け止めてくれて……
「義母は泣いていました。私の気持ちを汲み取って、『絶対に治る』と言ってくれました。私は結婚前にがんになっていたことを黙っていたズルいやつなのに。義父はずっと黙っていたんですが、帰り際に夫に向かって『ちゃんと支えてあげなさい』と。義両親の前ではずっと泣かないようにしていたんですが、2人になったときに号泣してしまいました」
手術も無事終わり、今は体調に気をつけながらの生活を続けています。義両親との仲も良好だと言います。
「コロナ禍ということもあり、あまり会えてはいないのですが、前まではあった後ろめたさがなくなり、自分からも連絡を取ることができています。今思うと、結婚前に伝えたとしても受け止めてくれていたのかなって思います。後の祭りですが。コロナが明けたら、義両親と私の両親を含めて旅行に行こうと計画中です。今は1年1年を大切に生きていこうと思っています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。