取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺ったさくらさん(仮名・41歳)は、36歳のときに結婚して、現在は都内で旦那さまと暮らしています。さくらさんは両親と3歳上に兄のいる4人家族。29歳のときに発症した乳がんをきっかけに結婚を一度は諦めたものの、旦那さまと知り合い、病気を受け入れてくれたことで結婚を決意します。
「プロポーズを受けたときには、病気から6年ほど経っていて治療もひと段落していました。でも、病気の過去がなくなるわけじゃありません。医師から言われた『若いときに発症した人は、それだけリスクも大きい』という言葉がずっと離れなかった。でも、そんな私でいいと、彼は受け入れてくれました」
妊娠しない理由も怖くて追求できない
「病気のことを誰にも言いたくない」という気持ちさえも旦那さまは受け入れてくれ、義両親には内緒に、その旨を両親にも伝えたと言います。
「ズルいのは承知です。でも、どうしても義両親に結婚を反対されたくありませんでした。結婚は当事者同士のものという考えが私の中で強かったのかもしれません。私の考えに両親は納得している様子ではありませんでしたが、病気のことになると強く私に言えないところもあり、その部分に付け込んでしまいました。
義両親は私を歓迎してくれて嬉しかった反面、後ろめたさもありました」
結婚後すぐに妊娠を希望するもなかなか妊娠せず。そこでもまた罪悪感が伴ったそうですが、義妹も長い不妊治療中ということもあり、義両親は一切何かを言ってくることはなかったそう。
「抗がん剤を使わずにいたので、妊孕性(妊娠するために必要な能力)については医師からは何も言われていないんですが、すでに36歳ということもあってなかなか妊娠しませんでした。健康な人よりもやっぱりリスクがあるかもしれません。子宮には問題がなかったのに、意図的に生理を薬で止めていたんですから。
夫は『できなくてもいい』と、『自分にも責任があるかもしれないから』と言ってくれました。私たちは2人で検査しないことを決めました。そして、現在も妊娠していません。義両親からは、子どもができないことに対して何かを言われたことは一度もありません。夫からは、義妹が長い不妊治療中であることが関係しているのかもと言われました」
【再発がきっかけをくれた。次ページに続きます】