親に否定されたくない思いからすべてを受け入れてしまう

社会人になって、両親と一定の距離を置こうとしていた理恵さんですが、母親からは毎週の帰省を求められます。理恵さんは母親の言うことを優先してしまっていたとか。

「断る理由がないんです。母親からは週に1、2度ぐらい連絡が来て、『今週末は帰って来られるの?』と毎週末に帰省を求められました。一緒に暮らしているときは週に数時間しか時間を共有していなかったのに。もしかしたら私が居なくなったことが寂しいのかなって思うと、ますます断るのが申し訳なくなってしまって。

でも、帰省しても母親からは私がどう過ごしているかよりも、母親自身が何をしていたかを伝えられるだけでした。そこには私がまったく知らない母親の会社の人の悪口も含まれていて、さらには私がいい返しをしないと『愛想がない』と否定されて……。休むはずの週末がさらに疲れてしまう日になることも多かったです」

IT企業の営業職に就いた理恵さんは、週末も仕事の資料作りに追われることも多くなり、ちゃんとした理由で帰省を拒めるようになっていきます。そんなときに母親から実家のリフォームの相談をされたそう。

「正当な理由があれば断ることもできました。だって週末も仕事をしていたから帰省できないのは本当のことですから。毎日遅くまで仕事をしていたので、家に帰るとそのまま寝てしまい母親からの電話をとれないことが続いて、徐々にかかってくる回数も減っていきました。

そんな状態がしばらく続いたときに、母親から実家の水回りのリフォームの相談をされて、お金を貸すことになりました。金額は全額ではなく50万ほど。そのことが嫌だったわけではなく、頼ってもらえたことで必要とされた気がして嬉しかったんです。そのときは」

しかし、そこから些細な金額でお金の無心が続いてしまい、現在に至ると言います。

「もう最近は、欲しいものがあったときにしか連絡が来ないようになりました。お金に困っているわけではなく、2人とも共働きから母親は仕事を辞めて、父親は社員から契約社員になって、収入が減っても同じような生活をするためだと思います。今までずっと貸し続けているので合計すると200万ぐらいでしょうか。コロナ前までは年に一度の旅費を負担していました。一度も断ったことはありません。断ったら何を言われるかわからないですから。親にお金をせびられている人を見ると縁を切るなんてことも聞きますが、切るほどのことでもないし、私自身独身で仕事もありお金に困っているわけでもないですからね。親との関係をどうしていきたいのか、私の中でも決まっていない状態です」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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