父親が嫌い、から、そんな人と結婚した母親がかわいそうという思いに変わる
高校に入る頃になると、祖父の調子が悪くなり母親は頻繁に実家に帰るように。そのことで父親と揉めている様子を何度も見かけたと言います。
「ケンカというよりも、忙しくてできなかった家事のことでネチネチと母親に文句を言っているという感じです。当時の私は自分のことはできる限りしていましたが、学校も忙しくてそこまで家での時間も長くなくて。妹からいつも父親の文句を聞いていました。その頃から、父親のことが嫌いと思うようになり、なんであんな人と結婚したんだろうって母親を不憫に思うようになっていきました。当時は彼氏もいたので、男の人は偉そうな人ばかりという先入観が消えたこともあって。優しい人もいっぱいいるのになぜ父親を選んだのかなって」
社会人になり、職場で一回り年上の男性と恋愛関係に。長く付き合う中で相手の言葉から結婚を意識するようになっていき、結婚を前提とした同棲をすることになります。
「貿易関係の職場に就職して、出会ったのが海外赴任を経験していた12歳上の男性です。上司ではなくて、私の上司と仲が良かった他部署の人で、私の部署の飲み会にも2次会などから個人的に参加してくるような社交性溢れるタイプの人でした。私にも積極的に話しかけてくれて仲良くなったものの、恋愛関係になるまでは1年くらいかかりましたね。
付き合いが2年ほど経ったときに結婚したいと思っていると言われて、結婚前提で同棲することになりました。彼は私の母親にも挨拶してくれて。父親には私のことで時間を作ってもらうことがなんだか気が引けて、彼には父親は多忙だと伝えて2人が顔を合わすのを避けました。母親からは優しそうな人だと結婚を喜んでくれて、私もこの人となら幸せになれると思っていました」
同棲でわかった彼の裏の顔。父親と重なる部分がどうしても受けいれられず……。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。