貶される子どもよりも貶した側の気持ちをフォローする両親
30歳手前のときに仕事が忙しく、母親の説得に応じずに法事に参加しなかったことがあったそう。そのときに何かを言われることはなかったものの、次のお正月のときに両親が娘は体調を崩していたという嘘をついていたことがわかります。
「私は入院していたことになっていました。その場は両親に合わせてその嘘に付き合いましたが、もう帰ってくるのはよそうとそのときに決めましたね。体調を崩したのも独り身で管理がしっかりしていないからだと、入院と独身を無理やり結び付けられていたんです。私が東京でどんな暮らしをしているのかなんて、誰も知らないくせに。それにみんなの前でどんなに酷いことを言われたとしても両親は私のことを庇ってはくれずに、伯父の言い分を『あなたのため』だと、そっちをフォローする始末。毎回帰省してもこんなに言われるなら、もう帰る必要もないと思いました」
そして今は両親とも最低限の連絡しか取っていないと言います。
「連絡があれば無視などはしていないですが、実家にはもう10年近く帰っていません。伯父は病気で亡くなりましたが、その葬儀にも参加しませんでした。それで何かを言われていたとしても関わらなければいいだけですから。3年前に今の夫と入籍をしましたが、両親にも入籍したことを報告しただけで会わせてさえいません。実は夫も両親との折り合いが悪く、一切付き合いはないんです。2人だけの生活はとても充実しています。私たち夫婦は自分たちの意思だけで子どもを作らないことを決めました。自分たちだけで選択できる未来は、想像以上に広がっています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。