コロナ禍も関係なしに「年末年始は実家で過ごすべき」
妊娠していた期間が短かったこともあり、仕事先にはその事実は伝えず。仕事を辞める、減らすなどのこともしていなかったことが救いだったと江里菜さんは語ります。しかし、そのことで義母を介して義父からある注文が入ったようで……。
「体調が落ち着いても、メンタルの部分ではやっぱり簡単には立ち直れなくて、そのときに仕事があって本当に良かったと思う日々でした。仕事があると余計なことを考えなくて済むんです。考える時間をなくしてくれるというか。
やっと気持ちも落ち着いてきたかなぐらいの時期に、義母から電話がかかってきました。内容は体調を気遣ってくれる言葉で始まりはしましたが、要約すると、子どものために仕事を辞めろということでした。義母は言葉を選びながら伝えているようで、おそらく義父の指示だと思います。このことで、本当に私たちの子ども(孫)のことは自分たちの所有物だと思っているんだなって確信しました。私は『夫と相談します』という言葉だけで電話を切りましたが、その後もしばらくは怒りが収まりませんでした」
残念なことにその後も2度の流産を経験して、しばらくは妊活などと力まずに自然に授かればいいという考えに変わったそう。旦那さまも江里菜さんの気持ちを汲んでくれたと言います。そして、現在4度目の妊娠をしているとのこと。
「流産を経験する度に心がすり減っていくような感覚があって、無理しないことを夫婦で決めた後に自然妊娠をしたんです。でもまだ安静を心がけないといけない時期。初めての妊娠以降、期待させたくない思いもあり、両親、義両親には伝えていません。期待させたくない思いの他にも義両親には色々干渉してこられたことが残っていて。そして、今回の妊娠期間は初めて年末年始に入り、さらにはコロナもあるので帰省をしないつもりでいたんですが……」
義両親、そして旦那さま側の親族は帰省を望まれています。年末年始は親族が全員揃い、江里菜さん夫婦もその流れに沿っていただけに断る理由を探していると言います。
「親族全員が揃うことが、コロナ禍よりも大切みたいですね。家の決まりなんですよ。私もその流れに今まで沿っていました。流産した後も他の集まりには不参加でも年末年始だけはと夫に頼まれていたので。でも、今回はどうしても行きたくありません。コロナを理由にしても、夫は両親から『帰省中はずっとマスクをしていたらいい』と言われたそうです。まるで校則のような親族内ルールをどうすればいいのか、11月が終わった辺りからずっとストレスを感じています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。