毎年、新年には家に大勢の親類縁者が集まり、おせち料理を囲んで祝うという人もいるのではないでしょうか?
けれど今年のお正月は、いつもと少し違います。まずコロナ禍にあって、大勢で集まることが難しくなりました。毎年、大勢に振る舞っていたおせち料理も、家族が食べる分があればいいように。今、おせち料理の常識が変わりつつあります。
人生100年時代の“新スタンダード”となりそうな、「健康おせち」を紹介します。
日持ちよりも体のことを考える時代に
そもそも、おせちは和食で野菜も摂れることから、健康的な印象があります。けれど、実際はどうなのでしょうか?
一般的なおせちを作ってみるとわかるのですが、日ごろ食べる料理よりも、砂糖や塩の量が多いことに気づくはずです。
砂糖の量は、世界保健機関(WHO)のガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」によると、1日25g程度(テースプーン約6杯分)が推奨されています。この程度に抑えられると、健康効果が期待できるようです。(※1)
砂糖を摂りすぎてしまうと、肥満や糖尿病などのリスクが高くなることがありますので、注意が必要です。
塩の量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日の食塩摂取目標量は、成人女性で6.5g未満、成人男性で7.5g未満となっています。(※2)
塩分も過剰摂取すると、高血圧のほか、胃がんの発症にもつながることが知られています。(※3)
しょうゆなどの調味料、かまぼこなどの練り物、いくらやかずのこなどにも塩分が含まれています。食べ方や食べる量には気をつけたいですね。
3が日でも食材が手に入る時代です。健康を重視している人にとっては、お正月といえども、砂糖や塩は控えめにしておきたいところです。
定番おせちを健康に良く、作りやすく
おせちの手作りというと「ハードルが高いな…」と感じる人もいるかもしれません。けれど、くふう次第で手軽に作れてしまうのです。
手作りのいいところは、家族の好みや体調に合わせ、砂糖や塩の量などを調節できる点。特に、日ごろから健康や食事に気をつけている人におすすめです。
さっそく、おせちの定番3大メニューのレシピを紹介していきます。
栗きんとん
おせちに欠かせない「きんとん」。漢字では「金団」と書き、「金の団子」「金の布団」という意味が転じて、商売繁盛や金運をもたらす縁起物とされてきました。
一般的な栗きんとんは、さつまいもと砂糖で煮て、クチナシで色をつけますが、健康おせちの「きんとん」は 焼き芋を使うのがポイント。砂糖不使用で、煮る時間も手間も省けます。
【材料】(4人分)
焼きいも 160 g
栗の甘露煮 60 g
みりん 大さじ1
【作り方】
1.栗の甘露煮は食べやすい大きさに切ります。
2.焼きいもは皮から外し、鍋に入れます。木べらでつぶしてみりんを加え、弱火にかけて練ります。
3.なめらかになったら栗を加えてざっと混ぜ合わせ、冷やします。
【栄養価】(1人分)
エネルギー 112kcal
たんぱく質 0.8g
脂質 0.1g
炭水化物 26.1g
食物繊維 1.8g
食塩相当量 0.0g
伊達巻
伊達巻には「人目をひく」「お洒落」という意味があり、おせちを華やかに彩ってくれます。砂糖で味つけをしますが、健康おせちの伊達巻は、甘すぎないのが特徴。オーブントースターで焼くので、生地を裏返す工程がなく、失敗知らず。コンロを塞ぐこともありません。
【材料】(4人分)
卵(Mサイズ) 3個
はんぺん 1/2枚(60g)
砂糖 大さじ2/3
うす口しょうゆ 小さじ1/2
【作り方】
1.ミキサーに全ての材料を入れ、なめらかになるまで攪拌します。
2.耐熱のバットにアルミホイルを敷いてサラダ油を薄く塗り(分量外)、1を流し入れてオーブントースターで5分ほど焼きます。
3.表面に焼き色がついたら、内側にサラダ油(分量外)を薄く塗ったアルミホイルをかぶせ、5分ほど焼きます。
4.熱いうちに鬼すだれにのせてアルミホイルをはがし、手前から巻きます。輪ゴムで両端をとめ、粗熱がとれるまでおきます。
5.両端を切り落とし、8等分に切ります。
【栄養価】(1人分)
エネルギー 88kcal
たんぱく質 6.2g
脂質 4.0g
炭水化物 5.3g
食物繊維 0.0g
食塩相当量 0.5g
黒豆
黒豆の「まめ」には「元気」「丈夫」という意味があり、「まめに働く」などの願いも込められている一品。黒豆はおせちの中でもとくに調理時間がかかり、鉄玉子を用意したり、シワが入らないよう気を配ったりと手がかかる料理です。
健康おせちの黒豆は、熱した砂糖液に黒豆の蒸し大豆を一晩漬けておくだけと簡単。食べたい量だけ作ることができ、甘さも控えめです。
【材料】(4人分)
蒸し黒豆 60g
水 80ml
砂糖 30g
しょうゆ 小さじ1
【作り方】
1.小鍋に水、砂糖を入れて中火にかけ、煮立ったら火からおろします。しょうゆを加えて混ぜます。
2.黒豆を入れた耐熱ボウルに1を流し入れ、大豆に密着するようにラップをかけ、冷蔵庫で一晩おきます。
※漬け汁は、3割を可食量として栄養価計算しています。
【栄養価】(1人分)
エネルギー 36kcal
たんぱく質 2.2g
脂質 1.1g
炭水化物 4.9g
食物繊維 1.2g
食塩相当量 0.1g
お重を使わない!華やかな演出方法
いくら健康なおせちでも、見た目が華やかでないと新年を迎える料理としてはふさわしくないですよね。これもくふう次第で、とっても華やかに演出することができます!
くふう1 豆皿に盛る
小さくてかわいい豆皿。デザインがおしゃれだったり、縁起のいいモチーフが使われていたり、いろいろな種類の豆皿が売られています。
おせちを1種類ごとに違う豆皿に盛ることで、テーブルがにぎやかに。家族の人数分のトレーを用意し、トレーに豆皿を並べるのもすてきです。
お重に詰めなくていいので、盛り付けがとても簡単です。
くふう2 挟んだり巻いたりする
かまぼこやサーモンも、ひと手間加えるだけで、グンと華やかになります。
かまぼこは真ん中に切れ目を入れ、青じそといくらを挟むだけ。
サーモンは、甘酢に漬けたれんこんと一緒に巻いて、三つ葉で結ぶだけ。
たったこれだけで、立派なおせち料理になります。おもてなし料理にも重宝すること間違いなしです。
管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」では、「健康おせち」特集を公開中。定番おせち17品のレシピを紹介していますので、ぜひご覧ください。
※1 2015年公表,世界保健機関(WHO)ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」
※2 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※3 「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者 津金昌一郎 国立がん研究センター社会と健康研究センター長)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/260.html
参考/文部科学省「食品成分表2015年版(第7訂)」
編集/おいしい健康編集部
監修/おいしい健康管理栄養士
株式会社おいしい健康
「誰もがいつまでも、おいしく食べられるように」という理念のもと、ITを活用したヘルスケア事業や生活メディア事業を展開しています。主なサービスとして、病気の予防・管理、ダイエットなどを目的とした管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」を運営。社内には、サービスの監修や向上にあたる管理栄養士が複数在籍しており、食や健康に関する情報をエビデンスに基づき正確にわかりやすく発信しています。
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