同窓会で再会した高校時代のマドンナ
そんな稲垣さんが、3年前から付き合っているというのが、高校時代のマドンナだった初恋の女性だ。同窓会で再会し、関係を深めているという。
「僕の高校は進学校で、彼女は容姿も知性も飛びぬけていたマドンナだった。僕よりいい大学に進学し、東京の企業に勤め、定年退職した。故郷近くのリゾートマンションに住んでいて、週に1回は都内に通うという生活を続けている」
彼女は、団塊の世代の人に多い「結婚という枠組みにとらわれない」というタイプ。10年前に事実婚をしていた男性と死別しているという。
「都内のホテルで行われた同窓会の帰りに、彼女を誘ってワインバーに行った。一緒にいると、時間がグッと巻き戻るというか、“あの頃”と同じ時間が流れるんだよね」
飲んだ後、勢いで、彼女のホテルの部屋に行った。かろうじて終電で帰ったものの、また会いたいという気持ちは募るばかりだったという。
「最初に彼女の姿を見た時……まあそれは、年齢相応なんだけれど、高校時代の自分が恋焦がれていた人が、何もまとわずに自分の前にいることに感動した。その先は……まあいいじゃないの。一緒に寝ているだけで、満たされる年齢ってことだから」
2人が会うのは、年に1~2回だという。
「そのくらいのペースがいいんだよ。楽しさもあるけれど、それに伴いガッカリ感や、罪悪感みたいなものが絶対にあるから。1年とか、半年とか経つと、それらがキレイにリセットされている。老年の恋は、神様がくれた美味しいけれど強い酒みたいなもんだよ。ちょっとずつ飲むことが大事だと思っているんだ」
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。