いまだ理解できない夫婦関係。でも、母親の気持ちには寄り添えるようになってきた

大学を卒業する頃には母親との仲も落ち着いていきます。就職も決まり、母親に父親と離婚したほうがいいと告げたそう。しかし、母親はこのままでという言葉を返してきたと言います。

「私は父親に他の女がいることは伏せて、母親に離婚してはどうかと言いました。一応私も実家で過ごしていましたがちゃんと家にお金を入れて、学生ではなくなりましたから。でも、母親は“このままでいい”と繰り返すばかり。具体的な理由は一切言いませんでした。『今は一定の距離を保ちながらうまくいっている』と。それって夫婦なのかなって、もやもやするからもう考えたくない思いでしたね……」

そして母親の言葉通り、現在も離婚はしていません。

「今は両親の離婚について考えることもありませんし、修復するかもと期待することももちろんありません。両親もともに60代後半で父親の女の影はいつしかなくなっていました。今父親は体を悪くしてしまって、すでに仕事を退いています。父親とは大人になるにつれて連絡も取り合わないようになっていったんですが、体を悪くしたと母親から聞いてそれからは頻繁に家に行くようにしています。父の面倒を見ているのは子どもの義務というところもありますが、母親の代わりです。私は結婚していないのでまだ両親のような夫婦関係には疑問がありますが、本当は自分が様子を見に行きたいのに行けない母親の気持ちを少しだけ理解できるようになりましたから」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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