両親の仲が好転? 離婚していないことも期待させた
父親が家に来ることもなくなり、側から見たら瞳さんの両親は離婚しているように見えますが、今まで一度も離婚はしていないと言います。瞳さんは母親に対して、離婚について聞いたことがあったそう。
「友人に両親が離婚して母親の実家で祖父母と暮らしている子がいて、その子は母親の姓に変わることとかも知っていたので。私はずっと父親の姓で、母親もそうだったから疑問に思っていました。聞いたのは中学生のときかな。純粋に知りたい気持ちもあったけど、子どもとして知っていて当然のことなのに知らされていないことにイライラしてしまって勢いで、って感じでした。母親からは、離婚していない事実を伝えられ、そして『あなたが大人になるまでは今の関係を続ける』と言いました」
離婚について聞いたのは母親のみ。父親には聞けなかったと言います。
「なんとなく。父親に会うのは月に一度、その中では私の学校の話とか、今流行っていることとか、一緒に車で祖父母の家に行ったりするくらい。父親には踏み込んだ話はできませんでした。何かを聞いて怒られたことなんか一度もないのに、踏み込めなくて……。一緒に暮らしていないから外面の自分しか見せていない分、父親もそうなんだろうと距離をとっていたのかもしれません。母親にはキツいことも言えたし、怒られてイライラすることもしょっちゅうだったけど、父親にはなかった。それって父親というよりも祖父母みたいな距離感だったからのような気がします」
そんな両親が、連絡を取り合っていることに気づいたのは大学生のとき。内容は母親から父親への告げ口だったそうですが、うれしかった記憶が残っているとか。
「大学に入って、家に帰らずに学校から近い友人の家に入り浸っていだことがあって、たまに家に帰るといつも母親からガミガミ言われていたんです。その子は女の子だったのに、まぁうるさくて。顔を合わすとケンカになるので、母親が仕事をしているタイミングで服を取りに帰ったりしていました。そしたら、父親と会ったときに、そのことを知っていて。父親は隠さずに『お母さんが心配している』って言いました。父親が母親のことを『お母さん』って呼んでいることもびっくりしましたし、お互いのことを口にしてもいいくらい仲が修復したのかもしれないとうれしくなって。よくわからない関係にもやもやしていたけれど、心のどこかでは仲良くしてほしいと思っていたことにも気づきました」
いつか一緒に暮らせるかもしれないと思っていた矢先、父親に女の影が見つかり……。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。