子どもの頃になかった帰れる家を大人になって見つけられた
入籍して、新居を実家からできるだけ遠い場所に構えます。反対を押し切っての入籍だったこともあり、しばらくは母親の連絡が途絶えていたとか。
「最後に実家で過ごしていた時間は、母親は私の言うことを聞かないからという感じで私を無視するようになっていました。なので、何の報告もせずに入籍して、家の場所さえも教えていません。引っ越しの時も母親は部屋から出てこなかったのでそのまま出て行きました。私にはもうちゃんと帰る場所があって、お金を稼ぐ手段も知っている。これでもう私に母親は必要ないと伝われって思いました」
その後、娘さんにも恵まれて家族3人で幸せに暮らしているとのこと。母親、そして父親とは連絡をまったく取っていないと言います。
「結婚して、子どもが生まれて、やっと自分に安心して帰れる土台ができたんだなって思います。本当は両親に作ってもらいたかったけど、もう過去は捨てました。同じような思いをして育ってきた夫と出会えたことは本当に大きな出来事でしたね。過干渉な母親、不倫している父親と、親のことは恥ずかしいと誰にも言えなかったのに、夫には何でも話せるんです。母親の機嫌をとったり、顔色を伺ったりという行為からやっと卒業できました。母親からは何度か着信があったものの、それを無視し続けたら相手もプライドが許さなかったんでしょう。もうかかってこなくなりました」
今は従妹から両親の話をたまに聞いているようですが、まだ離婚はしていないとのこと。「こんな状況でも娘の悪口を親族に言うくらいは元気だそうです」と麻子さんは苦笑いを浮かべます。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。