家族仲も良く、優しい義両親。それは義父が働いてこそだった

大学を卒業後も付き合いは続き、お互いが就職して3年目の時に同棲を開始。その時にお互いの両親へ挨拶に行ったそう。

「私の母親への挨拶は、夫が嫁をもらうみたいにガチガチだったことを覚えています。でも実際に会うと、母親はすっかり夫のことを気に入って、日帰りだけだったはずなのに一泊しましたから。夫の人たらし力はすごいなって思いました。

夫側の両親への挨拶は義母にしか会えなかったんですけど、明るくて元気なお母さんって印象でした。夫の家は年の離れた弟と妹がいて、私の家とは賑やかさがすごく違って家はもので溢れていました。夫のことは小さい頃から放任で信頼しきっているみたいで、夫が選んだ子ならって。その時はなんとなく私の母親と似ているのかもって思いました」

そして2人は29歳の時に入籍。結婚式は都内にある教会で、新婚旅行は一週間を使い、前半は夫婦で、後半はお互いの家族を呼んで別々に過ごしたと言います。

「結婚式は親族だけ集めたこじんまりしたもので、その分新婚旅行を豪華にしたんです。新婚旅行とお互いの親との最後の家族旅行を一緒にできるように。旅費は自分たちだけで親の分も持つつもりだったんですが、義両親からお金をいただきました。でも、旅行計画を本当に喜んでくれて、『このお金は式代に。旅行は連れて行ってもらいたいから』と私たちの意志にも配慮していただいて。このご両親と家族になれて、心の底から嬉しいと思っていました」

しかし、それは義両親の家にお金があった頃の話。義父が50代半ばで慣れない部署へ異動することになり、その場所に馴染めなかった義父は退職勧奨を経て、早期退職を受け入れます。義父は退職時には転職の意向があったものの、そのまま仕事を引退することに。そこから義家族のバランスが崩れ、敦子さん夫婦も巻き込まれていきます。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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