東京2020オリンピックの観戦チケットの抽選結果が発表され、悲喜こもごもでした。見事当選された方は今から観戦日が待ち遠しいのではないでしょうか?
オリンピック熱が高まりはじめた今、読んでおきたい「東京オリンピックを舞台にした小説ランキング」をハイブリッド型総合書店「honto」が丸善、ジュンク堂書店、文教堂、啓林堂書店とhontoサイトで購入された書籍や電子書籍のデータをもとに発表しました。
1964年の旧オリンピック部門、2020年(とそれ以降)の新オリンピック部門、のランキングを各あらすじとともにご紹介していきます。
◆東京オリンピックが舞台の小説ランキング
・旧オリンピック部門トップ5
旧オリンピック部門では、小説家であり、有名作品を数々手がけた脚本家でもある月村了衛による、昭和の東京五輪開催で巻き起こる利権争いを描いた社会派小説、「悪の五輪」が第1位を獲得しました。
2位以下には、同じくオリンピックの影を描いた『オリンピックの身代金(上・下)』や、実際に1964年の東京オリンピックの誘致に尽力した人物を描いたノンフィクション『東京にオリンピックを呼んだ男』、オリンピックの東京で働く女性を主人公としたオムニバス『リスタート! あのオリンピックからはじまったわたしの一歩』などがランクイン。
旧オリンピックを舞台にした作品はどれも、当時の時代背景とそこで息づく人々の想いや暮らしがにじんでくるような傑作揃いでした。
【第1位】『悪の五輪』
1963年、アジア初の五輪開催を翌年に控えた東京。ヤクザの人見は、五輪公式記録映画の監督に中堅クラスの錦田をねじ込むことで、興行界でのし上がろうとするが……。
日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京五輪をモチーフにした、長編社会派クライムノベル。
著者:月村了衛
出版社:講談社
【第2位】『おらおらでひとりいぐも』
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」 捨てた故郷、疎遠な息子と娘、亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、74歳の桃子さんが辿り着いた、圧倒的自由と賑やかな孤独とは。
著者:若竹 千佐子
出版社:河出書房新社
【第3位】『オリンピックの身代金(上・下)』
兄の死を契機に、社会の底辺ともいえる過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロを仄めかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?
著者:奥田 英朗
出版社:講談社
【第4位】『リスタート! あのオリンピックからはじまったわたしの一歩』
離婚届けを突きつけられた愛子、調理師を夢見る栄子、タイピストの頼子…。苦悩や希望を抱いた彼女たちは、歓声に包まれたヒーローやヒロインたちに、何を見たのか? 昭和39年の東京オリンピックをモデルに描く5つの物語。
著者:伊多波 碧
出版社:出版芸術社
【第5位】『東京にオリンピックを呼んだ男』
戦後日本の復興を印象付ける、1964年の東京オリンピック。その影には、一人の日系人の奮闘があった――。日本のスポーツ界や経済界に大きな影響を与えたフレッド和田の立志伝。
著者:高杉良
出版社:KADOKAWA
・新オリンピック部門トップ5
新オリンピック部門では、映画化もされた、人気作家吉田修一による青春小説の続編『続 横道世之介』が1位を獲得しました。注目は、2位の『東京の子』と、3位の『団塊の後 三度目の日本』。いずれも2020年以降の東京を舞台に、2020年のオリンピックによってその後の日本がどう変わるのかという、国民としては気になるテーマで描かれています。また4位には、更に先の2060年の未来が舞台の『僕はロボットごしの君に恋をする』がランクイン。
新オリンピック部門では2020年だけでなく、オリンピックを通して日本の未来を考えるきっかけとなるアフターオリンピック作品が多くランクインしました。
【第1位】『続 横道世之介』
横道世之介、24歳。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友だち、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。
著者:吉田修一
出版社:中央公論新社
【第2位】『東京の子』
2023年、東京。パルクール・パフォーマーを15歳で引退し、何でも屋として生計を立てる舟津怜は、失踪したベトナム人、ファムの捜索を依頼され……。アフターオリンピックの日本を描いた1冊。
著者:藤井太洋
出版社:KADOKAWA
【第3位】『コヨーテの翼』
2020年7月24日に開幕する東京オリンピック。その開会式に出席する日本の首相や世界各国のVIP殺害を画策する過激派は一人のスナイパーを雇う。スナイパーの正体は不明。そんなある日、警視庁にオリンピックの中止に応じない場合は、テロを仕掛けるとメールが入り……。
著者:五十嵐貴久
出版社:双葉社
【第4位】『僕はロボットごしの君に恋をする』
2060年、東京。人型ロボットを使った国家的極秘プロジェクトが進む中、プロジェクトメンバーの健が想いを寄せる咲の勤務先にテロ予告が届く。目的を達するために、暴走する研究者の狂気。健はテロを防ぎ、咲を守れるのか?
著者:山田 悠介
出版社:河出書房新社
【第5位】『団塊の後 三度目の日本』
2020年東京五輪の後こそ深刻!「天国・日本」の重大危機に若き徳永総理が挑む“三度目の日本”とは? 202X年「三度目の日本」に向けて究極の選択が始まる。
著者:堺屋太一
出版社:毎日新聞出版
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2020年の東京オリンピックをきっかけにして、1964年を振り返る人も多いのかもしれません。 東京2020オリンピックまであと1年強となりました。開催までの間、小説を通して、気分を盛り上げていくのもいいかもしれませんね。
(集計期間:2019年1月1日~2019年5月31日)