スペイン国王から贈られた洋時計

現物は今も久能山東照宮にある洋時計。(C)NHK

A:この洋時計は、劇中では三浦按針(演・村雨辰剛)が家康に持ってきた体になっていましたが、実際には、慶長16年(1611)に当時のスペイン国王が家康に贈ったもので、現物が静岡市の久能山東照宮に伝来しています。神君の遺品ということで大切に保管されてきた洋時計は、世界的にも貴重といわれています。

I:平成29年には、現スペイン国王が静岡市を訪れて洋時計を鑑賞したそうですね。

A:ですからイングランド人の三浦按針が家康に持って来たのかと思える演出は事実とは異なるのですが、好奇心旺盛な家康を象徴するような場面になりました。久能山東照宮には洋時計以外にも家康が使用した鉛筆や眼鏡、薬道具など数多くの遺品が伝来していますね。家康を演じている松本潤さんも数回お参りに行かれたそうです。ドラマの前半で着用していた金荼美(きんだみ/久能山東照宮では金陀美)具足、関ヶ原合戦で着用していた歯朶(しだ)具足も久能山東照宮に伝来しています。そのほとんどが『徳川家康の名宝』(小学館刊)に掲載されています 。

秀頼の扱いが気になってしょうがない

猫、登場。(C)NHK

I:本筋とは離れますが、今週気になる場面がありました。秀頼が猫を抱き、その猫を千姫が絵にする。なんともほほえましい場面でした。

A:秀頼が猫好きだったという史料は寡聞にして知りませんが、世の中の猫好きな方々にとっては、猫好きこそ天下をとって欲しかったと感じたことだと思います。

I:それはその通りなのですが、なんだか本作の秀頼は、これまでの秀頼と比して力強い感じがします。母の茶々のキャラも濃く描かれていますが、秀頼の今後にも要注目ですね。

A:秀頼は、織田家と豊臣家、さらには浅井家の流れを汲む「戦国のサラブレッド」。力強くて問題ないでしょう。

I:「戦国のサラブレッド」という呼称は完全に時代考証無視ですが(笑)、まあよしとしておきますか。

徳川 VS. 豊臣で板ばさみの千姫(演・原菜乃華)。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

1 2 3

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
6月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店