時代劇でおなじみの玄宮園と彦根城。

ライターI(以下I):今週9月10日は、大河ドラマが休止なので、ドラマのストーリーではなく、板垣李光人さんが演じている井伊直政に触れたいと思います。

編集者A(以下A):井伊家といえば、2017年には『おんな城主 直虎』で全国にその名が知れ渡りました。主人公の井伊直虎(演・柴咲コウ)が井伊家の後継者として育てたのが万千代→直政(演・菅田将暉)ですが、『どうする家康』では、直虎が登場しませんでしたね。

I:『どうする家康』で直虎が登場していたらややこしくなりますから、妥当な流れだと思います。

A:井伊直政は、永禄4年(1561)生まれですから、本能寺の変の時点で20代前半。後年「徳川四天王」と称される酒井左衛門尉忠次(演・大森南朋)は、本能寺の変のころは50を過ぎていますから、井伊直政とは親子以上に年の離れた関係でした。直政は現代的な言い方をすると、相当なイケメンだったといわれています。『どうする家康』では、織田信長(演・岡田准一)と家康(演・松本潤)のBL(ボーイズラブ)要素が話題になったりしていましたが、BLを扱うなら、家康と直政だろうと思った人は多かったのではないでしょうか。

I:さて、井伊家は、西に睨みをきかせるということで、彦根に藩を構えます。徳川四天王の酒井左衛門尉家が庄内藩として幕末まで過ごしますが、本多忠勝家、榊原康政家は10回ほど転封を繰り返しました。そんな中でも歴代大老職を輩出するなど、井伊家は幕閣としても重用されます。歴代で、なんといっても有名なのが、幕末の大老井伊直弼。桜田門外の変で御三家水戸藩出の浪士などに襲われて斃れた存在です。家康を支えた四天王の子孫が御三家水戸藩の出身の浪士らに襲われるという悲劇でした。

A:井伊直弼は、井伊直政からみれば、「孫の孫の孫の子」、あまり聞きなれない続柄ですが「仍孫(じょうそん)」で、直政を起点にすれば「直政8世」という関係です。

I:8世というとあまりピンと来ませんね。遠い親戚のように感じます(笑)。

A:その井伊家の居城が国宝彦根城です。同じ彦根市には石田三成の居城だった佐和山城があります。井伊直政は、三成の城に入るのをよしとしなかったという説もありますが、佐和山城はけっこうな山城ですから、新しい城を築きたかったのでしょう。

I:姫路城、松本城、犬山城、松江城と並んでの国宝ですからね。松本城も石川数正(演・松重豊)ゆかりの城ですし、姫路城には本多忠勝(演・山田裕貴)の息子忠政から3代、榊原康政(演・杉野遥亮)の榊原家も3代、姫路城主を務めています。

A:松江城の松江藩も家康次男の秀康の三男・松平直政以降幕末まで松平家の居城となりました。残る犬山城も尾張徳川家の付家老の成瀬家の居城です。なんだか国宝5城めぐりしたくなりますね。

暴れん坊将軍と彦根城の関係

A:さて、彦根城に行ったら大名庭園「玄宮園」は忘れずに立ち寄っていただきたいスポットのひとつ。ここから見上げる天守が大好きです。さらに時代劇ファンの方ならご存じの方も多いかと思いますが、時代劇ロケの有名スポットで数多くの映画、ドラマのロケがここで行なわれています。

I:そうなんですよね。

A:私が特に印象に残っているのが『暴れん坊将軍』で松平健さん扮する将軍吉宗と家老が池のほとりでやり取りする場面ですね。暴れん坊将軍気分も味わえますね。

I:そして、彦根城に行ったら井伊直弼が部屋住み時代に暮らしていた埋木舎(うもれぎのや)にも足を運んでほしいですね。井伊家は代々子だくさんで知られていますが、井伊直弼は井伊直中の十四男。本来であれば、家督を継ぐなどありえない立場から大老になりました。

A:大老になるのは凄い! と思いがちですが、井伊家の当主からはけっこう大老職を輩出しているのですよね。埋木舎は「藩主の十四男の住まいはこんなところ」というのを可視化してくれる屋敷ですね。

I:そして彦根といえば忘れてはならないのが「ひこにゃん」。全国のご当地オリジナルキャラブームの先駆けとなった存在です。このひこにゃん、歴史的にきちんとした由来があるのですよね。

A:はい。江戸の井伊家の菩提寺である豪徳寺の招き猫にルーツがあります。これは、井伊直政の息子である井伊直孝が豪徳寺(世田谷区)で白い猫に手招きされて降雨を避けることができたという故事に由来するそうです。諸説ありますが、商売繫盛の招き猫のルーツといわれ、現在も豪徳寺では「招福猫児(まねきねこ)」が大切にされていますし、多くの授与品がありますね。

I:猫好きな方にはたまらないスポットですので興味のある方は豪徳寺のホームページを覗いてみてほしいですね。ということで、白い猫が兜を着用した「ひこにゃん」は歴史的な由来がしっかりした「現存12天守キャラクター」なんです。

A:現存12天守キャラといえば、弘前城の「たか丸くん」、熊本城の「ひごまる」が「ひこにゃん」とともに私の中では三傑でしたが、「ひごまる」はくまモンに人気の面で後塵を拝することになってしまいました。ちなみに「ひこにゃん」の朱塗りの兜は『どうする家康』でも触れられたように「武田の赤備え」、「たか丸くん」の頭の兜は津軽為信のものといわれています。

I:井伊家の城下町・彦根は、東海道新幹線米原駅から電車でわずか5分ほどという場所にあります。

A:三成の居城佐和山城跡は山城なので簡単には登城できませんが、同じ彦根市内。さらに信長の安土城最寄りの安土駅には彦根駅から20分弱。

I:そして、彦根といえば近江牛。味噌漬けにした牛肉を井伊家から将軍家などに献上していたという歴史があります。城下町には老舗の「せんなり亭伽羅」など近江牛を堪能できるお店も多いです。

A:もう少し涼しくなったら、井伊家の城下町彦根と三成の居城佐和山に出かけてみたいですね。彦根、久しぶりだなあ。

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 


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