小栗旬から松本潤へ。主演俳優による異例の対談

A:『鎌倉殿の13人』最終回放映の翌週にあたる12月25日には『鎌倉殿の13人』主演の小栗旬さんと2023年大河ドラマ『どうする家康』主演の松本潤さんの対談がweb上で公開されました。

I:テレビ番組としてではなく、web上の配信というのが今風でしたね。最終回から1週間の間に、おふたりが時間をとってわざわざ大河ドラマファンのために時間をとってくれたんですね。

A:まさに当欄がしつこく主張している、北条義時から徳川家康へ「2年にわたる歴史叙事詩」という流れになってきました。なんだか感慨深いです。この対談はまだ見られるようですから、詳細は触れませんが、ひとつだけ言及したい個所があります。

I:なんでしょう。

A:松本潤さんが、『鎌倉殿の13人』第38回について触れた場面です。義時が父である時政を鎌倉から追放する回ですね。松本さんは、放映をみたあとに小栗さんに連絡をしたということでした。その話を聞いて、当欄満喫リポートではどんなやり取りがあったのか振り返ってみました。

A:旗頭の頼朝が亡くなった後に始まった権力闘争は、鎌倉時代およそ150年間通じて収まりませんでした。そして北条の世を変えようと後醍醐天皇が取り組んだ建武の新政もわずか数年で瓦解。その後も足利尊氏が設立した室町幕府が誕生するものの、落ち着いた政権運営はわずかな時ばかり。鎌倉幕府同様に守護大名の粛清が続き、6代将軍義教は暗殺されてしまいます。

I:結局、武士による政権は安定することなく、応仁の乱を経て、戦国時代に突入してしまいます。頼朝死後は、混乱続きで、ざっくりいうとそれが戦国時代まで続いてしまうんですね。

A:政権が安定し、平和が訪れたのは、信長、秀吉、家康の三英傑の「天下統一」の争いを経て、家康の江戸幕府の登場を待たねばなりません。頼朝挙兵から423年かかりました。ただ、江戸幕府設立の後も、大坂の陣、島原の乱がありましたから、安定した平和への道筋はほんとうに、ほんとうに長かったのですね。

I:あ、なんだか、主演のおふたりの対談をサポートするかのようなやり取りをしていますね。

A:そうなんです。少しびっくりしました。『鎌倉殿の13人』最終回冒頭では、『吾妻鏡』を読む家康が登場するサプライズがありました。あれは単なる「大河」と「大河」のバトンリレーではないと受け取ってほしいです。

I:どういうことでしょう?

A:頼朝が築いた武家政権は、義時らの手で北条氏による専制政治に舵を切るようになります。権力闘争はそれこそ戦国時代まで続きます。そうした混乱に終止符を打ったのは、まぎれもなく徳川家康です。

I:義時らが築いた武家政治を発展、安定させたのが家康だということですね。

A:そうなんです。しかも『どうする家康』では「神君」でも「たぬき親父」でもない等身大の家康が描かれるようです。なぜ家康によって「戦国」に終止符をうつことができたのか。まさに歴史叙事詩です。

I:なんだか、『鎌倉殿』の総集編から一気に『どうする家康』に脳内ワープができそうな気がしてきました。

A:楽しみですね。

畠山重忠(演・中川大志)と義時(演・小栗旬)が死闘を繰り広げた名場面。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『半島をゆく』、鎌倉歴史文化館学芸員の山本みなみ氏の『史伝 北条義時』などを担当。初めて通しで見た大河ドラマが『草燃える』(1979年)。先日、源頼朝のもう一人の弟で高知で討たれた源希義の墓所にお参りした。

●ライターI:ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2022年1月号 鎌倉特集も執筆。好きな鎌倉武士は和田義盛。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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