『ざんねんないきもの事典』『わけあって絶滅しました。』のベストセラーで知られる動物学者・今泉忠明さんの新刊は、まぎらわしい動物だけを収録したユニークな動物図鑑。全編クイズ仕立てなので大人でも楽しめます。皆さんもぜひ挑戦してみてください。

日本人なら知っておきたい動物名

この地球上には見た目や外見はよく似ているのに、実はまったく別種という動物たちがいます。そんなまぎらわしい動物だけを約70種をとりあげた動物学入門、『世界一まぎらわしい動物図鑑』から、大人も楽しめる動物写真クイズを出題します。まずは「まぎらわしい度1」基本問題編です。

【Q1】まぎらわしい度1 まずは基本問題です!
写真に写っている動物(1)、(2)、(3)、それぞれの名称を答えなさい

(1)ニ□□□カ
(2)ニ□□□□□カ
(3)□ョ□


【ヒント1】1は奈良や広島の宮島にいます。2は特別天然記念物。
【ヒント2】ひとつだけウシの仲間がいます。
【ヒント3】3は外来種。千葉県でめちゃくちゃ増えています。

【正解】

(1)ニホンジカ(日本にはホンシュウジカ、エゾシカ、ヤクシカなど7亜種がいる)
(2)ニホンカモシカ(日本固有種、特別天然記念物。日本列島で唯一の野生ウシ科動物)
(3)キョン(外来種・原産地は中国、台湾)

「ここが違う!」と「何でこうなった?」

角が枝分かれしていないのがニホンカモシカ、枝分れしているのがニホンジカです(写真は幼獣でまだ角が生えてない)。どちらも草食で、食べ物を反芻し、敵から逃げて身を守ります。暮らし方が似ているので体型も似ていますが、カモシカはウシ、ニホンジカはシカのなかまです。

千葉で増えている外来種のキョンもシカの仲間です。オスにだけ短いですが角があり、大きな牙を持っています。
カモシカは森林で進化し、シカとキョンは草原で進化しました。草原では枝分かれした角はじゃまになりませんが、森の中なかではひっかかります。角の違いはそんなことも関係しているのかもしれません。

ウシもシカも先祖には角はなく、オス同士は牙でケンカしていました。でも牙は植物を食べる役には立たちません。いつのまにか牙はなくなり、代わりに角を突き合わせて力くらべをするようになったのです。

動物たちの生命戦略、「まぎらわしい」には訳がある

クイズはいかがでしたか? なぜ、このように、そっくりな外見や習性を持つ動物がたくさんいるのでしょうか。
そこには動物たちの戦略があります。

動物たちにとって、自分の体こそが生き残るための道具です。どんな所に棲んで、何を食べているのかで、体の形は決まってきます。樹上ではバランスをとるのに長い尾が役に立ち、水中では流線形の体が便利です。肉食なら鋭い牙が役に立ち、草食なら茎をくいちぎる前歯を必要とします。

こうして長い時間をかけて、自然環境に適応して生き残ったものたちは、もともとが別の種であったとしても、なぜかよく似た形(キャラクター)と、習性(ビヘイビア)を持つようになるのです。こうした現象を、動物学の世界では「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼びます。この収斂進化に着目すると、進化の不思議をわかりやすく理解することができます。皆さんも「まぎらわしい動物」を知り、進化の不思議を感じてみませんか?

※写真は全て合成です

* * *

『世界一まぎらわしい動物図鑑』 監修/今泉忠明 
小学館 1320円(税込)

『ざんねんないきもの事典』『わけあって絶滅しました。』でお馴染みの今泉忠明先生の児童向け動物学入門最新刊。見た目や習性はそっくりでも、実はぜんぜん別種の動物=「まぎらわしい動物」にスポットを当て、進化の不思議を解き明かしていきます。親子で動物クイズを楽しんだり、動物園のおともにもおすすめです。

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