それでは、正解を発表します!

【クイズ1】
江戸時代の教育機関として、寺子屋(手習所)があります。ここでは7〜8歳で入門すると、主に読み書きを中心に学習が進められました。入門の際、父母は菓子折りなどに謝礼を添え、持参したといわれています。この謝礼は何と呼ばれていたでしょう?

(い)月謝
(ろ)心付
(は)束脩
(に)寸志

正解(は)
束脩(そくしゅう)とは、束ねた乾肉の意で、古代中国では弟子入りのときにこれを持参した。そこから、寺子屋の入門の際に納める謝礼も「束脩」と呼んだ。幕末の江戸では200~400文くらいだった。

【クイズ2】
江戸時代の庶民の教育機関である寺子屋(手習所)の師匠には、ある技術を用いて指導する人がいたと記録されています。対面指導の際に今でも役立つであろうその技術とは、どれでしょう?

(い)速く字を書く「走書」
(ろ)細かい文字を書く「細書」
(は)人の文字を真似る「写書」
(に)逆さまに文字を書く「倒書」

正解(に)
ほとんどの手習所では、現在の学校のような一斉授業ではなく、生徒各人に合わせた個別指導だった。生徒の横ではなく、生徒と向かい合ったまま字を書く「倒書」は、対面指導の際に便利な技術だった。

【クイズ3】
往来物とは、主に寺子屋(手習所)で使われた初歩者向けの教科書です。江戸の寺子屋では、往来物について<名頭と 江戸方角と 村の名と 商売往来 これでたくさん>と詠まれました。さて、この「名頭」とはどのようなものだったでしょう?

(い)有名な苗字などを列記したもの
(ろ)歴代天皇の名前を列記したもの
(は)全国の寺社の名前を列記したもの
(に)各月の名称・異称などを列記したもの

正解(い)
「名頭(ながしら)」とは手習いのお手本のひとつで、人名でよく使われる漢字を選んで並べたもの。書き出しは、多くの場合「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」となっていた。

【クイズ4】
寺子屋、手習所などと呼ばれた庶民の教育機関では、さまざまな行事が行われましたが、それらは子どもの書の上達ぶりを見せる一種の発表会でした。では、師匠の家を開け放って通行人にも見えるようにしたり、時に料亭を借りて子どもの作品を披露した行事を、何といったでしょう

(い)弘法さま
(ろ)浚い
(は)席書
(に)箱書

正解(は)
子どもたちの学習の成果を発表する会を「席書」といった。その場で書の清書をさせたり、清書を張り出したりした。

【クイズ5】
吉田光由が著わした数学の入門書は、寛永4(1627)年に初版が出版され、版を改めながらロングセラーとなり、手習所(寺子屋)の教科書としても使われました。では、この本の題名は何でしょう?

(い)『塵劫記』
(ろ)『窮理通』
(は)『発微算法』
(に)『和漢名数』

正解(い)
和算家の吉田光由(1598~1672)は、算法の普及を目的として『塵劫記(じんこうき)』を著わした。そろばんでの乗除法を図解し、日常生活に必要な計算を平易に解説。ねずみ算など遊戯的な問題も掲載されている。

*  *  *

いかがでしたか? 最後の問題の正解率はなんと28%! かなり難しい問題が混じっていましたが、次回もぜひ自信をもってチャレンジしてみてください!

※問題の出典:『“通”になる“粋”になる 江戸検クイズ百問答<文化・世相編>』

取材・文/オノハルコ(晴レノ日スタヂオ)

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