日本を代表するロックバンド・THE ALFEEの坂崎幸之助さん。デビューから46年間、毎年60~110本の全国ライブツアーを開催。2018年には、日本のグループ史上最多記録の通算2700本を達成。その記録を更新し続けています。
坂崎さんは、本業と並行しながら、数多くの趣味を持つことでも知られています。カメラ、和ガラス、両生爬虫類飼育……いずれにおいても、その知識と経験は専門家も舌を巻くほど。
そんな坂崎さんの最新共著が、先日発売された『ふるさと東京今昔散歩第1巻 浅草編』(フォト・パブリッシング)。この本の制作背景と、趣味について。そして、これからの人生を楽しく生きるヒントについて、坂崎幸之助さんに伺いました。
古い絵はがきをコレクションする趣味から、世界が広がる
――東京墨田区の酒屋さんで生まれ育った坂崎幸之助さん。最新著書『ふるさと東京 今昔散歩』では浅草の街を掘り下げています。
この本では、明治から戦前、戦後から高度経済成長期にかけての絵はがきと、僕が撮影した現在の町並みと比べています。絵はがきは、共著者である生田誠さんと、僕のコレクションからピックアップしました。
元新聞記者の生田さんとの出会いは、15年ほど前に、都内の骨董市で僕が古い絵葉書を探していたら、声をかけていただいたんです。それから、情報交換などを行っていて、「いつか一冊にまとめたいね」と話していました。
――写真を見比べると、雷門と訪日外国人のイメージが強い現代の浅草とは、異なる魅力があることがわかります。特に絵葉書で紹介されている通称『十二階』こと『凌雲閣(りょううんかく)』については、かなり詳しく解説されており、意外な発見がありました。
これも、20年ほど前かな……突然、浅草十二階にハマったんですよ。十二階は1890(明治23)年に当時の浅草公園に建てられた、眺望用の高層建築物で、1923(大正12)年の関東大震災で半壊し解体されました。さまざまな文献を調べつつ、絵はがきや写真を集め始めたんです。
――明治から大正にかけて、33年間も存在していた、このレンガ造りの建物は、『押絵と旅する男』(江戸川乱歩)や『浅草紅団』(川端康成)など様々な文学作品にも登場した、“帝都東京”のシンボル。坂崎さんは、本書のプロフィール写真にレンガのようなものを持っていますが……。
これは、浅草十二階のレンガです。2018年2月、ビルの工事中に遺構が出土したのです。そのとき、浅草に住んでいる友達が「十二階のレンガが出たよ」と連絡をくれたので、仕事の前にすっ飛んでいったんです。すると、土の中にレンガがあって、それを作業員の方々がトラックに積んでいる。僕が「いただいてもいいですか?」と言ったら、「いいよ、いいよ」というので、なるべく形になっているのを選んだものの一部です。
工事現場を見てみると、十二階ならではの八角形の土台がありました。「写真通りだ……」と思っていると、十二階コレクターの方が「坂崎さんですか?」と声をかけてくださった。彼は、新幹線でわざわざ来たそうです。この様子はTwitterにも上がり、大きな話題になりました。これがきっかけで、文化財の一部として保存するという動きが起こったようです。
【人がいない浅草と、幻のポニータワーと……次ページに続きます】