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健康

夏風邪と間違えやすい夏型過敏性肺炎|誤嚥性肺炎だけじゃない、罹ると怖い肺炎

文/鈴木拓也

シニアが注意すべき誤嚥性肺炎以外のアブナイ肺炎|『肺炎に殺されない! 36の習慣』

日本人の死亡原因で上位にある「肺炎」。肺炎で死ぬ人のほとんどは65歳以上の高齢者で、その多くは誤嚥性肺炎であることから、この病気の予防に関する情報が数多く出ている。

しかし、シニアが警戒すべき肺炎は誤嚥性肺炎だけではない、と言うのは、産業医で呼吸器系を専門とする生島壮一郎医師だ。生島医師の著書『肺炎に殺されない! 36の習慣』には、馴染みはないが罹ると怖い肺炎とその対策が詳述されており、一読の価値がある。ここで、その幾つかを取り上げてみよう。

■夏風邪と間違えやすい夏型過敏性肺炎

「夏が来るたびに夏風邪にかかる」という人は、夏型過敏性肺炎を疑うべきかもしれない。これは、湿度・気温の高くなる時期に日陰の畳やカーペット裏で増殖するトリコスポロンというカビによって引き起こされる。

生島医師によれば、その症状は「しつこい咳や微熱、息苦しさ」を特徴とし、カビが減る秋口に収まるという。

さらに夏場にエアコンを使うことで、内部にいたカビが吹き出されて同様の症状になる、換気装置関連過敏性肺炎というものもある。

「夏風邪だからすぐ治る」と放置しておくと、肺胞の組織に致命的なダメージをもたらし肺機能の低下につながりかねない。

生島医師は、その予防策として、室内のカビの発生しやすい箇所やエアコンのフィルターの掃除をこまめに行うようアドバイスする。

■便利な防水スプレーで肺炎になることも

雨具や靴に吹きかけておくと、雨滴をはじいてくれる防水スプレー。
急な雨の多い夏に重宝するが、便利だからと使いすぎては「フッ素樹脂など防水剤の成分が気管支から肺へと入り込んで」肺に炎症を起こすことがあるという。

さらに、カビ取りスプレーでも同じようなリスクがある。注意書きに「必ず換気をしながら使うこと」とあるのは、臭いがきついからでなく、肺へのダメージがあるからだ。

こうしたスプレーを使用する際は、「窓やドアを開けて十分に換気をして、長時間使い続けないこと、マスクを着用して行う」といった対応が肝心だと、生島医師は述べる。

■肥満による睡眠時無呼吸症候群がもとで肺炎に!?

肥満気味で、喉にも余分な脂肪がついていると、呼吸時の空気の通り道が狭くなってしまう。そして、睡眠時に舌の緊張がとれて喉に落ち込むと、さらに狭くなり閉塞してしまい、呼吸が一時的に止まる。

これが、睡眠時無呼吸症候群だが、生島医師は、これには「肺炎の合併が多い」と指摘し、その仕組みを以下のように説明する。

もともと、息を吸うときには胸腔の陰圧によって、鼻から肺へ空気がとりこまれます。しかし、無呼吸があると喉が閉塞しているため、陰圧が胃の内容物を胸へと引き上げて「胃食道逆流」を起こすのです。そして、さらに、胸腔陰圧が高まった場合には、喉の周囲の唾液や貯留物を、気管支や肺に吸引しやすくなると考えられています。(本書172pより)

無関係とも思える睡眠時の無呼吸が肺炎へとつながるのは恐ろしいが、高齢者がより注意したいのはサルコペニア肥満。サルコペニアとは、加齢に伴って生じる筋量・筋力の低下のこと。つまり、サルコペニア肥満は、筋肉が少ない一方で体脂肪率が高い状態を指すが、これは「肺炎を起こしやすい」体質だという。さらに、糖尿病などの病気にもかかりやすくなり、「肥満解消は必須」と説く。

■シニアは呼吸筋を鍛えよう

サルコペニア肥満の恐れが大きいシニアは、内臓脂肪を減らして肥満を解消するだけでなく、横隔膜など肺を動かす筋肉を鍛えることも大事だという。そのために、本書では幾つかのエクササイズが掲載されている。例えば、「肩を大きく動かす」は、以下の要領で行う。

1. 両手の指先を肩につけて肘を外に開く。
2. 下から肘を持ち上げるように、腕をゆっくり3回まわす(肩から大きくまわすように)
3. 胸が広がるのを自覚しながら、肘で円を描くように大きくまわす。
4. 反対まわりも3回。肘を上げるところで息を吸い、下げるところで吐く。

*  *  *

体内にあるとはいえ、肺は外界に直接通じているデリケートな臓器。そのため、周囲の環境の影響を強く受けるし、身体の悪い方向への変化にも脆弱だ。この点をふまえ、本書の説明にしたがって大切にケアし、肺炎を未然に防ぎたい。

【今日の健康に良い1冊】
『肺炎に殺されない! 36の習慣』

http://www.subarusya.jp/book/b427197.html

(生島壮一郎著、本体1,300円+税、すばる舎)

『肺炎に殺されない! 36の習慣』
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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