文/鈴木拓也
治らないのは「人間の体はつながっている」から
肩がこったら肩をもみ、腰が痛んだら腰をもむ。それで一時的には軽快するが、すぐにぶり返すの繰り返し……。
マッサージ店に通っても良くならないので、治らないものと半ば諦めてしまう――こうした悩みをもつ方は、多いのではないだろうか?
肩こり、腰痛、頭痛といった慢性不調がなかなか改善しないのは、「患部とは別のところに痛みの原因」があるから――そう説くのは、「つながり整体院」のパク・ソンフン院長だ。
一例を挙げれば、反り腰の人に多い腰痛。腰に湿布を貼ったり、電気を当てたりしてもダメ。しかし、骨盤の異常を調整して反り腰そのものを治すと、腰痛が解消する。
骨盤が原因なのに、腰が痛むのはなぜか?
原因を追究したパクさんは、「人間の体はつながっている」という理解に至る。生活習慣から特定の筋肉が固くなると、その筋肉につながっている骨格に負担がかかり位置がずれ、不調が発生する。反対に、骨格がずれれば、筋肉が引っ張られ、痛みが生じる。違和感や痛みのある所をもんでも、なかなか改善しないのは、このためだ。
この認識を土台にパク院長は、さまざまな不調を癒すセルフケアを編み出し、著書『すべての不調は自分で治せる!ひとり整体 この効果、まるでプロ級!』(SBクリエイティブ)にまとめている。今回は、本書のセルフケアを2つ紹介しよう。
大殿筋が固くなって起こる腰痛はこう治す
パク院長によれば、慢性腰痛は、股関節の動きの悪さがからんでいることも多いという。その股関節の動きを悪くしているのは、固くなったお尻の筋肉・大殿筋だ。ここを柔軟にすれば、結果として股関節がうまく機能し、腰痛が改善する。
本書にはセルフケアとして3つのストレッチ法が掲載されている。その1つが、親指で行う大殿筋のストレッチ。以下の要領でやってみよう。
不調の元凶となる悪い姿勢も改善
パク院長は、さまざまな不調は「ほとんどが姿勢の悪さが原因」と力説する。ねこ背や巻き肩といった悪姿勢が、頭痛や眼精疲労といった不調をもたらすこともあるという。
そこで、患部を治すピンポイントのセルフケアだけでなく、姿勢を改善・維持させることも重要になる。以下の動作は、内臓が落ち込んでできる「ぽっこりお腹」の改善にもなる姿勢改善法だ。
水を十分摂るだけで不調が改善することもある
上で取り上げたようなセルフケアは、ほかにも肩こり、膝痛、バネ指から、ほうれい線や首のシワといった美容的なものまで数多く収載されている。1日3回、ご自身の悩みが改善されるまで辛抱強く取り組んでみよう。
くわえて、日常的な生活習慣の指南もされている。その点でパク院長が、いの一番に語るのは「水」。「当院の患者さんを含め、多くの人は圧倒的に水が足りていないと思います」と、水の摂取量の少なさを指摘する。
しっかりと水を摂るだけで、「なんとなく体調が悪い」「痛みが出る」などの症状が解消されるケースがあります。例えば、ある高齢者施設で、認知症の方に水分を多く含んだゼリーを取り入れてもらうなどして水の摂取量を増やしたところ、問題行動が減ったという話があります。水を適量とるのは大切なことなのです。(本書124pより)
「適量」とは体重1kgあたり30mlだそうで、体重70kgのパク院長は毎日2Lくらい水を飲んでいるという。これで、体内から余分なものを排出するデトックス効果が高まり、新陳代謝もよくなり、細胞も活性化される。飲み水は、ふつうの水道水でいいそうだ。また、できるだけ加工されていない食材や、たんぱく質を多く含んだ食材を、積極的に摂ることもすすめられている。セルフケアと同様、どれも手軽にできるので、取り組みやすいものからやってみるといいだろう。
本書内イラスト:ミツキ
【今日の健康に良い1冊】
『すべての不調は自分で治せる!ひとり整体 この効果、まるでプロ級!』
文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った映像をYouTubeに掲載している。