黒々とした皮をむくと、濃厚でクリーミーな緑色の果肉が顔をのぞかせるアボカド。かつては珍しがられた野菜ですが、ここ数年ですっかり市民権を得ました。居酒屋からファミリーレストランまで、アボカドは外食メニューでも頻繁(ひんぱん)に登場。また、アボカド料理のみを掲載した料理レシピ集も数多く出版され、今やアボカド味の菓子まで販売されるほど。
このアボカド人気、日本だけでの現象ではないようです。じつは、ヨーロッパや米国でもアボカドの需要が増えているとそうです。それに伴い、一大産地であるメキシコを中心に、世界のアボカド生産は近年大きく増加しています。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、2010年の世界で生産されたアボカドの総量は389万トン。そのうちメキシコが3割近くを占め、チリ、ドミニカ共和国、インドネシア、コロンビア、ペルー……の順に生産量が多くなっています。全体の生産量は、1991年に200万トンを超えたあと、1990年代以降に急速に増えて、2002年にはほぼ400万トンに達したというから驚きです。
「森のバター」と言われるほど栄養価が高いアボカドですが、その2割弱は脂肪分。でも、心配ご無用。健康によいといわれる不飽和脂肪酸を多く含み、老化予防に効果的とされるビタミンEが豊富なのです。
日本人に受け入れられた理由のひとつに、醤油(しょうゆ)と相性がとてもいいことが挙げられます。皮をむいて1cm厚さに切り、山葵(わさび)を少し溶いた醤油につける食べ方は人気があります。
いつまでも健康で若々しくいるために、毎日の食事に取り入れてはいかがでしょう。
文/大沼聡子