日本でも最近、よく知られるようになってきたタイ料理のひとつ「カオソーイ」。この料理を簡単にいうと、香辛料のきいたカレースープの中華麺、すなわちカレーラーメンです。
発祥はタイ北部の都市、チェンマイ。ゆでた麺の上に、香ばしく揚げた麺が具材としてのっているのが特徴です。日本人にとって馴染み深いカレーとラーメンが融合しているこの料理が、日本人の口に合わないわけがありません。
最近は日本のタイ料理店でもメニューに載せている店舗が増えてきましたが、先日、本場のカオソーイが食べたくなってチェンマイの名店を訪ねました。
現地ガイドさんの案内でやってきたのは、創業70年という老舗『カオソーイ・ラムドゥアン』。1日に500杯以上売り上げるというチェンマイでも一、二を争う人気のカオソーイ専門店です。
具材は豚肉、鶏肉のいずれかがを選べますが、定番は鶏肉とのこと。タイ人は軽食を頻繁にとる習慣があるため、一人前といっても日本のラーメンの半分ほどしかありません。本場の味なので相当辛いだろうと思いきや、意外にも辛さは控えめ。
コクのあるスープは濃厚なのにしつこさがなく、カレーうどんを食べているようなほっとする味。付け合わせのもやし、高菜漬け、小さな紫玉ねぎをのせながら食べると、またいっそう美味しさが増します。隣のテーブルに座っていた観光客はよほど気に入ったのか、立て続けに3杯も食べていました。
ガイドさんによると、カオソーイはチェンマイならではの料理だそうで、「隣国ミャンマーの向こうはインド。また、北を向けば中国の雲南省がすぐ近く。そのふたつの国の食文化の影響を受け、誕生した麺料理なんです」と話してくれました
年末年始の旅行でタイのチェンマイを訪れることがあれば、『カオソーイ・ラムドゥアン』に立ち寄って、ぜひ本場の味を楽しんでみてください。
文/大沼聡子