
近年、長崎の土産として「長崎角煮まんじゅう」が評判だ。厳密にいえば、餡を包んだ包子ではなく、生地を蒸した「饅頭」で、豚の角煮を挟んである。調理・販売する「岩崎食品」で広報担当の田口美紀さんは次のように話す。
「長崎名物の卓袱(しっぽく)料理で出される東坡肉(トンポーロー)を、観光でいらした方に手軽に味わっていただきたいと、発想した一品です」
卓袱料理とは、大皿に盛られたコースで味わう宴会料理のこと。その料理のひとつ、豚の角煮は中国の東坡肉を由来とする。

「長崎角煮まんじゅう」に使われているのは、2代目が、母の味をヒントに作り上げた角煮だ。完成度を求めてたどり着いたのが、赤身と白身のバランスの良さが特徴のアンデス高原豚のバラ肉という。
「このバラ肉を、長崎のチョーコー醤油と角煮まんじゅう専用に作った醤油、水飴などを加え、注ぎ足してきたタレでじっくり炊きあげます。その後、いったん冷蔵庫で冷やすことで、旨みが中まで入ります」(田口さん)
トロトロで旨みが染みだす角煮と、ふんわりもっちりした饅頭の相性は抜群。長崎名物のひとつとなった味わいを楽しみたい。

岩崎本舗 西浜町店
住所:長崎市銅座町3-17
電話:095・818・7075
営業時間:9時30分~21時
定休日:無休
交通アクセス:長崎電鉄新地中華街駅下車、徒歩約2分
取材・文/中井シノブ 撮影/松隈直樹
