油を使う料理には炭酸のキレが合う
●新富町 湯浅(中華料理)
『カバラン』×「帆立の燻製 ミント和え」
繊細かつ独創的な中華料理を味わえる、東京の『新富町 湯浅』。店主の湯浅大輔さん(40歳)は、平成31年の開店当初からウイスキーを数種類常備し、ハイボールで提供してきた。
「炭酸の効果で切れ味が生まれるハイボールは、油の欠かせない中華料理に実によく合います。切れ味がありながらも、それぞれのウイスキーの個性、香り、余韻が長く続く点も魅力。ですから、料理に合わせがいがあります」
湯浅さんはそう語る。現在、リストに載せているのは『知多』『山崎12年』に加え、台湾産のシングルモルト(単一蒸溜所の原酒で造られたウイスキー。モルトは大麦麦芽のみを使用したウイスキー)『カバラン』だ。
繊細な中華とのペアリング
「『カバラン』は南国系の華やかな香りのするウイスキーです。台湾産ということもあり、ハーブなどの香りを効かせてエスニック風の味に寄せた料理にぴったりだと思います」
ある日の前菜として登場した帆立の燻製のミント和えに『カバラン』のハイボールを合わせると、確かに相乗効果で香りが華やぎ、互いの味わいに深みが増した。
揚げ物には、「甘い香りがあり、キレのいい『知多』がおすすめです」と湯浅さん。中華料理の要である油に関してはとくに気を配り、良質な油を巧みに使いこなす湯浅さんの揚げ物は軽やかだ。しかもフカヒレ入りの贅沢な春巻きとくれば、それだけで唸る旨さである。だが、『知多』のハイボールと共に味わうことで、いっそう洗練された味わいが引き立つ。
『知多』×「フカヒレと黄ニラの春巻き」
「複雑な香りを持つ『山崎12年』は、しっかりした味の牛肉料理などと相性がいい。双方の長い余韻を堪能することができます」
『 山崎12年』×「松阪牛の香草強火炒め」
日本酒やワイン同様、このようにハイボールも料理によって変えると食事の楽しみは一層広がる。
※各料理はコースの一品。
新富町 湯浅
東京都中央区新富2-7-4
電話:03・6222・8677
営業時間:17時30分~20時30分(最終注文)、土曜・日曜・祝日は昼も営業、12時~13時30分(最終注文)
定休日:水曜
交通:地下鉄有楽町線新富町駅より徒歩約1分
※この記事は『サライ』2022年7月号より転載しました。(取材・文/安井洋子 撮影/森本真哉)