取材・文/池田充枝

ソール・ライター《帽子》1960年頃、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター《帽子》1960年頃、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

1950年代に華々しく活躍しながら、1980年代に表舞台から姿を消した後、再び脚光をあびることになった伝説の写真家、ソール・ライター。
彼が残した膨大な宝の山から掘り起こした珠玉の作品展が開かれています。(3月8日まで)
本展では、これまでほとんど紹介されることのなかった2000年代にデジタルカメラで撮影されたカラー写真はじめ、アーカイブの中から豊富な作品資料を公開するとともに、デジタル技術を駆使することによって、ソール・ライターの創作の秘密に迫ります。

ソール・ライター《無題》撮影年不詳、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター《無題》撮影年不詳、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

本展の見どころをBunkamuraザ・ミュージアムの上席学芸員、宮澤政男さんにうかがいました。

「2017年、日本初の回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで開催され、大きな話題を呼んだ写真家、ソール・ライター(Saul Leiter 1923-2013)。

彼は1950年代からニューヨークで第一線のファッション写真家として活躍し、1980年代に商業写真から退き、世間から突如姿を消しました。
彼が再び脚光を浴びることになったのは、2006年に出版された『Early Color(アーリー・カラー)』です。この写真集は大きなセンセーションとなり、その後、世界各地で展覧会開催や出版が相次ぐようになりました。

ソール・ライター《薄紅色の傘》1950年、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター《薄紅色の傘》1950年、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

約8万点のカラー写真をはじめとする作品の大半を整理することなく世を去った写真家の「発掘作業」は、ニューヨークの彼のアパートで今なお続けられています。

一人の写真家のアーカイブ構築作業に接して感じたのは、その作品群が時代を超えて読み直され、語り継がれていくに違いないという確信でした。本展のタイトル「永遠のソール・ライター」は、このような確信から名づけられました。

ソール・ライター 《ニューヨーク》1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター 《ニューヨーク》1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント (C)Saul Leiter Foundation

日本では第2回目の個展となる本展は、ソール・ライター財団の全面的協力を得て、約200点の写真作品と多数の資料により、近年発見された未発表を含む作品群を紹介するとともに、セルフ・ポートレート、二人の最愛の女性のポートレートを通してその作家像を掘り下げます。当時、彼はカラー写真をスライド投影で楽しんでいましたが、本会場には最新のデジタル技術による映像体験も盛り込まれています」

ソール・ライター《ソームズ・バントリー》1950年代、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター《ソームズ・バントリー》1950年代、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation

時代を超えた永遠の写真家に会いに、ぜひ会場に足をお運びください。

ソール・ライター 《セルフ・ポートレート》1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント (C)Saul Leiter Foundation

ソール・ライター 《セルフ・ポートレート》1950年代、ゼラチン・シルバー・プリント (C)Saul Leiter Foundation

【開催要項】
ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター
会期:2020年1月9日(木)~3月8日(日)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1B1F
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saul leiter/
開館時間:10時から18時まで、金・土曜日は21時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:1月21日(火)、2月18日(火)
巡回:4月11日~5月10日美術館「えき」KYOTO

取材・文/池田充枝

 

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